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杉本侃客員教授による特別講義が開講されました

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 本校では、年に1回、杉本客員教授による特別講義「日ロ貿易論」を実施しています。
 杉本先生は、東京外国語大学ロシア学科を卒業後、(社)ソ連東欧貿易会(現:ロシアNIS貿易会)、サハリン石油開発機構(株)に長年勤務され、さらに日本経団連日ロ経済委員会事務局長、ERINA(環日本海経済研究所)副所長などを歴任し、ソ連時代から現在に至るまでの長きにわたり、日ソ・日ロ経済関係、なかでもエネルギー問題の専門家として活躍されています。
 本年度の特別講義は6月6日(月)に行われました。
 冒頭、「日ロ関係に春風が少し吹いてきているのでは?」、という問いかけがあり、「北方領土問題は新しいアプローチによって双方に受け入れ可能な方法が見つかるだろう」。「二国間関係のみならず、グローバルな視点で考えれば解決に向かうだろう」。などといったお話から始まりました。
 本論では、最初に対ロシア経済制裁が大きいことに触れ、続いて日ロ貿易関係では、自動車輸出は半減以下で、輸入でも伝統的輸入商品である木材や非鉄金属も減少していることについて、輸出入データを分析し、説明されました。
 次に、「5月6日の首脳会談」について、「政治と経済をリンクさせない」ことを日本側から初めて話したことが注目すべき点であること、経済分野では互恵的な協力を進めていくことで一致したこと、文化・人的交流では、日本が査証緩和を戦略的に検討する中で、ロシアも重点対象の一つとしている、と安倍首相が紹介したことなど、会談結果を解説していただきました。
 また、5月にサハリン州知事が来道した際に、サハリンと北海道の無査証訪問の提案があったことなど、「北海道と極東との関係」にも触れていただきました。
 最後に、「日本でロシア語の世界(職場)は広がるか」、という本校学生が関心ある疑問については、「大企業では15年ほど前から採用時に語学指定をしなくなっており、英語が重視され、ロシア語をはじめとする特殊言語での採用は減少している。だが共通語化が進んでも、現地語の需要は減ることはなく、有利さは色々ある」。「トップセールスを知事が行うこともあり、地方企業はトップ(知事)の志向性に左右されることが多い。現在、ロシア交流に力を入れている自治体は、北海道・秋田・青森・鳥取・島根で、みなさんが暮らす北海道でも知事が熱心に動いている」、と具体的に説明していただきました。
 今回の特別講義「日ロ貿易論」は、基本的知識がまだ備わっていない1年生には少々難しかったようですが、長年の経験と研究蓄積に裏打ちされた日ロ経済専門家による講義内容は充実したものであり、同時に、将来ロシア語を使って活躍したいと考えている本校学生にとって、貴重かつ有益なアドバイスをいただく機会となりました。

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