芸術の秋、いざ青森へ!
日帰りで函館から青森へ出かけた。青森県立美術館で開催中の「舞台芸術の世界~ディアギレフのロシアバレエと舞台デザイン」を見るためである。この美術館は2006年開館と新しく、国の特別史跡・三内丸山遺跡の隣にある。せっかくだもの、両方見たい!青森駅からバスに乗り約20分、まずは三内丸山遺跡へ。
ここは入場料無料で楽しめる。三内丸山の象徴とも言えるのが復元された大型掘立柱建物である。直径約1メートルもある六本柱からなる構造物は、実際目の前に立ってみると、その高さ、その大きさに圧倒される。何に使用していたものかは諸説に分かれるが、このような大きなものを重機もない時代によくもまあ、と縄文人の文明に驚かされる。ちなみにこの六本柱に使われている栗の木は、はるばるロシア・チタから運ばれてきたものだ。日本国内ではこれだけのものが用意できなかったのであろう。
また、遺跡をビデオで紹介する縄文シアターではロシア語の翻訳機の貸し出しがあり、その他展示室などにもロシア語の表示があった。さすがはハバロフスクと定期航空路を結ぶ青森県である。
三内丸山から美術館までは無料のシャトルバスが走っている。私は時間が合わなかったので歩いて行ったが、それでも15分くらいで着く。
そしてお目当ての「舞台芸術の世界」。展示品のほとんどは舞台衣装のデザイン画やポスターであるが、絵画として鑑賞できるほどの完成度。どれもこれもがおとぎ話から切り取られたような、見ているだけで夢膨らみ心踊るような画である。
実際に使用された衣装も展示してある。館内では舞台のビデオも上映され、「バレエこそが舞踏、美術、音楽を統合させた『総合芸術』である」という信念を持っていたディアギレフの世界に触れることが出来る。
展示を見た後のお楽しみに、先着でロシア雑貨があたるくじ引きも用意されていた。出口でチケットの半券を見せ、「マトリョーシカさんスタンプ」を押してもらえば、くじ引きの権利獲得。賞品はマトリョーシカ・キーホルダーや小さなおもちゃカメラなど様々。私はマトリョーシカ型の笛を狙ったが、はずれ。でも残念賞をもらうことが出来た。
そのほか、常設展示もおもしろい。青森県ゆかりの棟方志功、寺山修司、奈良美智の作品たち。特に奈良美智の作による鉄筋コンクリート像、全長8.5メートルの「あおもり犬」は何とも言えぬ脱力感を漂わせながらも、眺めているうちにいろいろなメッセージを発しているように思えてくる。三内丸山遺跡の発掘現場に着想を得たというこの作品は、発掘されたよう下半身を地中にもぐらせており、本当はもっともっと大きいのだ。
結局閉館の17時までいたのだが、常設展示の方はすべて見ることができなかった。見応えがあるのでこのようなことにならないよう、お出かけの際は時間に余裕を持って行くことをお勧めする。
参考までに函館から特急で片道2時間ちょっと。函館-青森自由席往復きっぷというのを利用すると、5,500円で行って来ることができる。
縄文遺跡と現代美術が隣り合うこの素敵な空間。秋晴れの一日、歴史と文化と自然に触れ、青森の奥深さを知りました。