コロナ禍の渦中にあって想うこと
ロシア極東連邦総合大学函館校 教授 倉田 有佳
2020年は、「新型コロナウイルス」、「コロナ禍」の影響を強く受けた1年だった。本校でも一時期授業がオンラインで行われた。
私生活においては、これまでは2カ月に1度のペースで札幌や東京で開催される研究会に参加していたが、軒並み中止、もしくはオンラインに代わった。秋以降に多くの研究会がzoom開催に転じ、筆者が参加した研究会や講演会の回数は既に10回近くに及ぶ。このうち2回は、ウラジオストクと結んで行われたオンライン交流会だった。
学生時代から旅に出るのが好きで、大学時代は「ユースホステル・クラブ」に所属していた。その後も、国内外の旅を続けてきたが、ふと思い出されるのは、モスクワに暮らしていた1990年代前半、大学寮の同じ階に住んでいた親友ジーナとの ボロジノ行きだ。 ジーナのことは、学報 94号でも触れたところだが、カスピ海の北西に位置するカルムイク共和国の首都エリスタ出身のカルムイク人で、当時はモスクワ大学で民族学を専攻する大学院生だった。
ボロジノは、モスクワから西へ100キロに位置する町で、ナポレオン戦争の「ボロジノの戦い」で知られている。だが今回の目的は観光ではない。足に塗ったら歩けるようになったという薬草液を手に入れるためだ。筆者はその道連れだった。というのも、当時のロシアは、ソ連崩壊直後の経済的社会的混乱の真っただ中にあり、女性一人で列車に乗って遠出するのは危険だったからだ。
1泊するというのに、ジーナの荷物は黄ばんだポリタンク1つだけで、着替えもタオルも持たずに列車に乗り込んだ。その晩は、ジーナの友人の知り合いの知り合いというロシア人女性のところに泊めてもらった。翌日は早朝からバスに乗り、薬草液を作っているという女性が暮らす村を目指した。
ロシアの田舎でよく見かける平屋の木造家屋から出てきたのは、魔法薬でも作りそうな老婆ではなく、普通の中年女性だった。裏庭には様々な草が生い茂っていた。薬草液をポリタンクに入れてもらう間、その液を足に塗ったおかげで立って歩けるようになったという少女の話を聞き、液の塗り方の要点を教えてもらうと、すぐさま家を後にした。だがバスの本数は少なく、駅まで歩くことにした。丘を越え、延々と続く乾いた田舎道を歩き続けた。2時間以上歩いたはずだが、ジーナがポリタンクの重さに音を上げることはなかった。というのも、この中の液体は、彼女の無二の親友、エルザを再び歩けるようにさせるかもしれない希望の光だったからだ。
筆者が初めてエルザと会ったのは、モスクワの大きな病院だった。当時はまだ、ソ連時代の福祉制度が残されており、年に数回、無料で首都の病院までリハビリを受けに来る権利があったのだ(この数年後、有料化された)。エルザが車いす生活を強いられるようになったのは、ジーナに会いにモスクワにやって来た時、不幸にも交通事故に巻き込まれたためだった。二人が乗っていたタクシーが交差点に差し掛かった時、信号を無視して突っ込んできた車と衝突し、エルザは後部座席から車外に投げ出された。最初エルザは助手席に座っていたのだが(助手席は後部座席よりも上位と考えられていた)、前の席は怖いと言ったため、ジーナは席を代ってあげた。事故はその直後に起こった。事故後もエルザはエリスタでジャーナリストの仕事を続けていたが、以前のように取材のためあちこち飛び回る自由は奪われた。
「事故に遭ったのが自分だったら良かった。不自由な身体になっても、親族の誰かが手助けしてくれる。でもエルザには父親しかおらず、父娘の関係も良くない」。ジーナの後悔は止まなかった。
カルムイクの祈祷師から、「エルザは人生で与えられた以上の距離を移動したため、自分の足で歩けなくなった」、と言われたことをジーナが真剣な顔で筆者に語ったこともあった。祈祷師や薬草液の奇跡について日本で聞いたなら、「何をばかな!」と笑い飛ばしていたかもしれない。だが、混迷を極める当時のモスクワでは、人の力を超えた何か目に見えぬ力の存在を感じることは多々あった。未来、いや明日のことすら見通せぬ不安定な社会にあっては、自分一人の力ではどうにもならないことばかりだ。家族や友人とはもちろん、見知らぬ者同士でも、有用な情報は交換し合い、ごく当たり前に手を差し伸べて助け合い、不足分を補わなければ生きてゆけない。「情けは人の為ならず」。他人に寛容にならざるを得ない。
このように、旅行や海外での異文化体験は、視野を広げ人生を豊かにしてくれる。ところが昨年は、新型コロナウイルスの影響で、「外」に出る自由が制限され、閉塞感にさいなまれた。他方で、ヒトやモノを介して「外」から持ち込まれるかもしれないウイルスの恐怖に怯えた。筆者のように人生をひと廻りした者ですらストレスを感じたのだから、若い学生の皆さんが、強い不安やいらだちを感じるのも無理はない。だが人生はまだまだ長い。古来のことわざにもあるように、「禍転じて福と為す」。これまでの生活に代わる新たな途を模索する中で、予想もしなかった新たな発見や可能性が生まれることもある。
2021年もコロナ禍は当分続くだろうが、少しでも多くの人に「福」が訪れる、そのような年となることを願いたい。
学生からの寄稿
プーシキン大学短期留学に参加して
科目等履修生 中谷 嶺
2020年9月1日から24日までロシア連邦文部科学省・ロシア連邦文化科学庁主催の第10回プーシキン大学ロシア語学短期留学プログラムに参加させていただいた。まず初めに本プログラムに関わって下さった方々に感謝申し上げたい。
今年は新型コロナウイルスの影響もあり、オンラインでの開催となった。当初、科目等履修生という立場もあったので本プログラムとは縁がないものだと考えていたが、今できることをやろうという気持ちからであった。
授業の前日に簡単な面接によるテストが行われ、その内容によって所属クラスが分けられた。メールで送られてきた結果にはレベルが書かれておらず、また授業初日は自宅のネット環境が貧弱なこともあり、どのレベルに所属しているか話が聞けず、分からなかった。後に函館校からの他の受講生の話を参照したところ上から2番目であったらしい。
授業内容は月曜から木曜まで二人の教師が入れ替わりで行い、発音が週2回あり、残りはテキストの読解を通して文法事項を習得したり、架空の状況の設定下で会話をすることで実践的な力を養うというようなものであった。授業の進度に関して、一日で同じ教師が進めていくので復習する量が非常に多いこと、また内容をおそらく教師間で共有していると思われるので、別の教師であっても前日の内容を前提とした授業を行うのでハードではあったが充実感があった。課題はあまり出なかったが、3連休の間に授業中扱っていない『プロストクヴァシノ』というアニメを見て感想を書くというものがあった。どこまで考察すればいいか悩んだ末、アニメの全セリフをネット上で探した上で全訳しつつ、そこから内容を読み取るという営みにはさすがに心が折れた。
不便を感じた点を述べれば、主にオンライン上の問題が挙げられる。語学学習という性質上、一方向での授業においては差支えないがグループ作業等において、あらぬ誤解が生まれることが多々あった。一例を挙げれば、あるアニメをグループ全員でアテレコするという課題が出され、役割分担するにあたり、作中の挿入歌を自身が知っていたこともあり(善意で)歌うことを申し出たところ、自分が歌いたいだけなんじゃないかと言われたことである。別に筆者はジャイアンでもなければリサイタルをする気もないし、もっと言えば音痴でもない。(もし何かの縁でこの原稿を読んでいたらあなたを責める気はないから許してね。)なお、歌に関しては教師側がyoutube上で音声をきっちり流してくれたので受講者の三文芝居がダダ滑りしたのは言うまでもないだろう。
さて、多少愚痴も出てしまったが、本プログラムを通じて、不足していた単語量が大幅に増えたこと、ロシア人とメールでコンタクトを取るのが以前より億劫ではなくなったこと、ロシア語しか使えない、いい意味で逃げ場のない状況下においてのみ実力がつくことが再認識されたのは今回の戦利品といえるであろう。
プーシキン大学短期留学で学んだこと
ロシア語科2年 川村 美保子
私は9月に行われたプーシキン大学短期留学プログラムに参加しました。今年はコロナウイルスの影響で2年生の必須カリキュラムであるウラジオストク留学がまさかの中止となり、大変残念に思っている中での事でした。
最初にこの件を聞いた時、応募するべきか悩みました。授業はZoomでのオンライン形式、なおかつ夏休みを大幅に返上した日程、また夕方スタートの授業に合わせた生活など、ついていけるのかが不安だったからです。しかし、普段とは違う先生に授業をしてもらえる貴重な機会だと考え、思いきってチャレンジしてみることにしました。
私のクラスでは、モスクワの建物や歴史、人物の外見・性格・服装、ロシア芸術(バレエ・絵画・歌)、ロシア語のイントネーションなどを学びました。授業はすべてロシア語でしたが、問題なく内容が理解できました。極東大学で過ごした1年半で、随分語彙が身についていたんだなと少し嬉しくなりました。
授業中に学生同士が2人組で会話を作ったり、自分の考えを全体に向けて発言する機会が多くあり、それも良い刺激になったと思います。他大学の人と比べて私は長文作成が苦手だと感じ、まだまだ頑張らなければ、という気づきにもなりました。毎日の密度が濃く、あっという間の3週間でした。また先生のモスクワ弁(Москваがマスクヴァではなくモスクヴァなど、アクセントのないоの発音が違う)もたまに聞き取ることができて楽しかったです。
今振り返ってみると、オンラインならではの苦労もありました。通信不良で画面が固まってしまったり、Zoomのチャット操作をミスしてしまったり、テスト用のサイトにログインしたいのに上手く開けなかったり…。でも、それらも含めて、いい経験となりました。今回このプログラムに参加することができてよかったです。そしていつの日か、この記憶を辿りながらモスクワを訪れてみたいと思います。
プーシキン大学短期留学で学んだこと
ロシア地域学科1年 弓田 眞悟
今回初めてプーシキン大学の短期留学に参加しました。しかしながらコロナウイルスのせいでロシアへ直接行くことはできず、オンラインで実施される授業に参加する形でした。それでもいい経験になったと思います。ただ、オンラインであったため現地の先生の言っていることが雑音で聞こえなくなるなどの問題はありましたが、それは次第に慣れました。
行った内容はロシアにおける衣服、職業、食などや人の見た目などの単語をロシア語で学び、そのあとにドラマなどを見てロシア語で自分の意見を言う授業が多かったです。自分の意見をロシア語で話すのは難しく苦戦しましたが、これがいい経験になりました。
ロシア語だけではなくほかの言語にも共通して言えることだと思いますが、やはり下手でもいいから自分の気持ちを伝えることだと思いました。私はまだ一年生なのでたどたどしいロシア語でしたが、オンラインだとジェスチャーも100%使えるわけではないので、現地の先生に自分の伝えたい内容がほぼ言葉だけで伝わった時の嬉しさは忘れられません。
今回、私は昼間通常通り学校に登校し、夜はオンライン授業を受けるという生活を選択しましたが、次回同じような遠隔留学に参加する場合は、日常の学校か、遠隔留学どちらかに絞ろうと思いました。なぜかというと留学も日々の授業も覚えることが別物でやることが多く、一歩間違えると倒れてしまうかもれないからです。
逆に現地に行けないのは残念でも、いい面がありました。それは留学しながらアルバイトをすることができたことです。家賃や生活費などは自分で工面しているので留学している間も空き時間を無駄にすることなく、働くことができました。
しかし、今度は本当にロシア留学したいものです。その時はもっとロシア語を上達させてもっと上のクラスで学びたいと思いました。
WIKIロシアⅡでの活動を通して
ロシア語科2年 小栗 大和
今回、一つのグループのメンバーとして一人一人が活動するには、色々と難しい要素がありました。それぞれ別々のテーマで取り組むものでしたので、当然といえば当然ではありますが、それでも協力が可能かつ必要な場面は多々ありました。同学年のメンバー誰もが、私含め、ウィキペディアの編集経験がなかったので、その協力が必要な場面とはつまり、主にウィキ固有の構文に関する未知と、その解決を早める情報共有のことです。それぞれ自力で調べて会得するとなると冗長になるので、担当した翻訳を終え手が空いた者、私の務めはそこにありました。遠隔開催の都合で今回は形式上のものだったとはいえ、一応リーダーを担った者が比較的短めのページを翻訳して終わりというのも如何なものかと思っていたので、他メンバーの補助に回ることで、上手くできていたかはともかく、それらしいことはできた様な気がします。
翻訳の補助といっても、叙述する物の実態を、訳を手伝う箇所以外から知っておかないと致命的なミスをしかねないので、全身まで浸かる程に他人のテーマに首を突っ込むことになるわけです。基本的に、アニメシリーズのテーマを担当するメンバーを手伝ったのですが、学術記事よりもずっと、使用が限定的で解釈困難な専門用語が多いので、より難易度高めに感じました。具体的には、システム的に煩雑な、ページの脚注部分を主に手伝ったのですが、外部リンク先のニュース、団体のホームページ等の熟読も欠かせないので、特殊な分野のページは、実際に訳をする文章の長さに対して、かかる時間は計り知れないところがありました。
ところで件のウィキの構文に関して、海外ページ翻訳で一番の障害になるのは、なんといっても移植不可能なテンプレートです。これがあった場合、部分的に対応するテンプレートを日本語ページ用の物から探す必要があります。もちろん、異なるテンプレートである以上、同一の記述内容を保持することは不可能なので、その時点で翻訳困難、または不可能な要素が出てきました。こういった存在がある限りは、「結局翻訳元のページをどうにかして読んだほうがいい」という身も蓋もない話になってしまうので、個人的には何かしらの世界共通規格への統一が待たれるところです。
アカデミックリンクについて
ロシア地域学科1年 岡島 柊
今回のアカデミックリンクについて、チームリーダーである私が報告することとなった。今年は、新型コロナウイルスの影響により、例年より大幅に規模を縮小して、特設サイト上での掲載のみ、という形となった。とはいえ重要なのは、発表ではなく、内容を作るためのその過程である。
私達「ロシア語教育をふりかえろう会」は、「ロシア人から学ぶロシア語教育史」というテーマで参加した。ただ、「ロシア語教育」と大きく題してしまっているものの、今回は函館市でのイベントなだけあり、実際取り扱っているのは「(函館での)ロシア語教育」であることを注意されたい。
内容作成にあたっては、倉田先生の指導の元、各自担当部分を決めた上で、文献の調査、パワーポイント作成を行ったうえで、最後にそれらの総合作業(形式統一など)をするという流れが採られた。
先ず調査では、テーマの関係上、古い文献を参照することが多かった。
従って、引用の為の情報を探すのに苦労したり、そもそもの文章が難解であるということがままあった。しかし良い点としては、古い文献を見ることでしか分からない、当時と現代との差異や、今の函館市民も知らない意外な情報が得られた。
私はサファイロフ氏とカラリョフ氏についての部分を担当したのだが、調査の途中で、当時の函館でのロシア語の地位の高さや、湯川町のロシア人集落など、生まれながらの函館市民である私が今まで聞きもしなかった情報がぽんぽんと出現した。温故知新という言葉の意義について、改めて考えさせられたものだった。
パワーポイント作成は、倉田先生による諸々の手順の説明と、各々の知識経験の共有によって、非常に有意義なものになった。論文作成に必要不可欠な引用法を知ることができたのもまた良い経験だ。特に私などは、パワーポイントなどこれまで全くといって良いほど触ってきていないも同然であったので、最も良い収穫が得られた一人だろう。
総括して振り返ると、近代の函露関係や編集技術などと、収穫は沢山あったが、その中でも私が思う最も重要なものは、文献の引用法を始めとした論文作成のいろはである。当大学の論文アーカイブを見れば分かる通り、これを1年生から取り扱うようになった以前と以後とでは、形式の整然さの程度が明らかに異なる。それを考えると、やはり今回の本質的意義とは、これに他ならないと私は思うのだ。
これらノウハウを来年以降の論文作成でも活かして励んでいきたいと思う。
アカデミックリンクの発表を通して
ロシア地域学科1年 弓田 眞悟
アカデミックリンクでは私の以前学んでいた水産学の経験を生かしたものを作りたいと感じていました。しかしながらまだ一年生のため難しい内容はできないと考え、加えてアカデミックリンクではロシア語を全然知らない人もいるのでそこでロシア語では海の生き物はどのように名付けられているのかについてまとめることにしました。
なぜ海の生き物なのかというとロシアは日本とは違い、海の生き物についての馴染みがなく広大な川が多くあるため川の生き物についての印象が強い国で名付け方が変わっていて面白いと感じたからです。
資料集めについては前の大学で習っていたロシア語論文に乗っていたものの名前と先生に紹介された「ロシア語ハンドブック」を使いまとめました。特に誰かと一緒にやるというのではなく一人での作業だったので自分の好きなことやアレンジを組みこめてよかったです。
反省点としてはいろいろな先生にあらかじめ見てもらっていろいろな意見をもらえればよかったというところです。やはり多くの人に見てもらう発表では様々な人が、ある基準で納得がいく説明をしなくてはならなりません。次回は、いろいろな先生や知り合いに見てもらい改善や対策の準備をしていきたいと思います。あとは反省すべき点だと思ったのはゆっくりと話すことだと思います。普段の授業の時もよく言われるのですが日本語に限らず、ロシア語も話すときの私は無意識のうちに早口になっているそうなので今のうちから直すべきだと思いました。
また、今回うれしいことに市内の中学生の皆さんから質問をもらいました。自分の発表を見てもらえたのはもちろんのこと、自分の発表から新たなロシア語や生物に興味を持ってもらえたのはとてもうれしかったですし、意外と面白いところをついてくる子がいて面白かったです。
次回行いたいことはロシアのバイカル湖に住むという唯一淡水にすむアザラシ、バイカルアザラシについてロシア語と日本語の文献をもとにしてまとめてみたいと思います。今回の反省点を生かして次回はよりよい発表ができるようになりたいと思います。
弁論大会に参加して
ロシア地域学科3年 伊藤 遼太郎
私が全道ロシア語弁論大会に参加しようと思ったきっかけは、今年度予定されていたウラジオストク本学への留学がなくなり、なにか別なことでロシア語を学ぶことへのモチベーションを上げようと思ったからです。また正直にいえば、今までの学生生活において自分から学外活動をするということがなかったので、なんとなく何かやってみようと思ったからというのもあります。
弁論大会にむけての準備では2週間ほど夜通し発表の暗記をしたり、先生に吹き込んで頂いた発表の録音を聞いて自分の発音を修正に励んだりしました。そしてその時、自分の今までの勉強への怠りが露呈し、正直やめてしまいたいと思った時もありました。しかしいったんやると決めた責任や、もしこれをやらなければサポートしてくださった人を裏切ってしまうといった義務感がこのような考えから、弱気な気持ちを一蹴し、再び練習に励むことができました。
また今年はオンライン上での発表ということでビデオ録画を審査してもらうという方式だったので本番は大人数の前ではなく先生と他数人の前での発表でした。しかしカメラの前で発表することは思っていたよりも何倍も緊張するものであり、また審査員が繰り返し見れるということに意識がいってしまい覚えたはずの発表の文章を飛ばしてしまったり、また頭が真っ白になって何も言えなくなるなどとても大変なものでした。ただこの時も先生が緊張をどう和らげるのか、また発表を飛ばさないようにするためのコツを丁寧に指導してくださり、そのおかげでなんとか乗り切ることができました。
今大会は結果として、一位を勝ち取ることができました。これは準備から撮影に至るまですべての指導や折れそうな気持ちを励ましてくださったデルカーチ先生のおかげであり、心より感謝申し上げます。また、オンライン発表の準備段階からサポートをしていただいた事務局の皆様にもお礼を申し上げます。
この経験を通じて、人前で発表をするということの大変さや、周りのサポートがあっての自分なんだなと強く感じ、今後の学生生活やロシア語の勉強においてこの気持ちを忘れずにいようと思いました。
JTインターンシップ(オンライン)
ロシア地域学科2年 中澤 純
私自身はタバコを吸うことはないのですが、お酒は飲むので、税金の比率が高い嗜好品という近い関係であるタバコ企業のお話ということ、ロシアとの関連に興味があり日本たばこ産業株式会社(JT)インターシップに参加しました。
タバコは成分上、日本の教育はニコチン・タールの危険性ばかりで広告にもほとんど流れないので、製造側の歴史、事業、広告等根本の話を今までほとんど聞けなかったので新鮮な経験を得られました。ここ最近になって、加熱式タバコ等今までにないプロセスで摂取するタバコが登場しましたがそういった新商品が出続けるのでタバコの根本の定義が気になったのでこのような機会があり面白い話を聞けたと思いました。
JTの日本でのタバコ事業についてはある程度目につく機会はありましたが、海外でのタバコ事業内容、海外シェア、薬剤事業など多方面のことはなかなか知る機会がなかったので良い経験でした。日頃私が買っていた中に桃の天然水があり、買う食料品の販売元とかあまり気にせず買っていたのでJTがもともと販売していたのをサントリーが買収していたという事実を初めて知り、裏面の製造元を見るというのも面白く感じ、今後やってみようと思いました。
日本が禁煙、分煙禁煙化と叫ばれ、この先売上が減っていくだろう中以下に利益を同じようにはたまた増やしていけるか、タバコの需要が今ある副事業をうまく転換できるのか、という今後の問題点自体が面白い議題だと感じ、色々考えてみたいなと思いました。分煙、禁煙が飲食店で義務化された現在も、雀荘やゲームセンター(特に格闘ゲームコーナー)、パチンコ店等、喫煙者が多くを占める場所がある中で、マジョリティだからとこのままでいいのか、安全性、換気等はうまく回っているのか等未だ喫煙者が多いが、100%ではない場所での法整備や環境整備というのが今後の議論かと思いました。今後、なにかでロシア等海外に行く機会があったとき、タバコの喫煙スペースはどうなっているのか等見てみようかと思いました。
АБВГ-Day優勝 ロシア語能力検定1級合格
ロシア地域学科4年 竹内 のぞみ
12月16日にАБВГ-Dayが開催された。学年の枠を超えて日々のロシア語学習の成果を披露しあう、この言語のお祭りは函館校の恒例行事であり、今年も多くの学生が思い思いの発表を行った。
私は、他の試験準備や卒業論文作成の疲労感から、АБВГ-Dayの発表準備をなかなか始められずにいたのだが、T先生の「上級生が範を垂れないと」という言葉をきっかけに、これまで私たちに範を垂れてくれた過去の卒業生の姿を思い出し、よし、ここはひとつ頑張ってみるかという気持ちになった。
発表の題材には、作家三浦哲郎を選んだ。彼の作品は以前より拝読しており、常々圧倒されていた。すっきりとしていて無駄がないのに、情景を余すことなく表現する彼の文章は、身に沁み込ませるようにたっぷりと時間をかけて読みたくなる。彼の作品を一人でも多くの人に読んでもらいたいと思い、彼の生涯と作品を説明しながら、私の感想も交えて発表を行った。発表はまずまずの出来で、前列に座っていた先生方とアイコンタクトを取りながら落ち着いて話すことができた。
他の学生の発表は、それぞれの学生の個性が感じられる、面白いものばかりだった。皆スライドを用意したり、仮装をしたりなど創意工夫を凝らしていた。普段学年別で授業を受けていて交流が少ない分、一人一人の発表を見ていると新たな発見があり、刺激的で有意義な時間を過ごすことが出来た。私は今年で三回目の参加であったが、今年はこれまでの中で最もバラエティに富み、大いに盛り上がりを見せた回であったと思う。
また私事で恐縮ではあるが、11月1日にロシア語能力検定委員会主催のロシア語能力検定試験を受け、一級に合格できたことを報告したい。合格したとはいえ今後改善しなければならない課題はまだまだある。けれどもやはり、四年間の勉強の成果が表れてとても嬉しい。
АБВГ-Dayの盛況も、私のロシア語能力検定一級合格も、函館校の先生方の指導に多くを負っている。ロシア語においてだけでなく、幅広い知識でいつも私たちの興味を引き出してくださる先生方に改めて感謝を述べたい。
自治会ランチプロジェクト
自治会長 ロシア地域学科3年 関口 颯
日本学生支援機構から学校にコロナ禍で影響を受けた学生支援のために20万円が助成されました。そこで、それ以前に案があったけれども実現しなかった昼食補助をこの助成金で行うことになりました。
昼食補助の条件は、朝に体温を計測し、午前中の授業に出席していた学生であることです。また、せっかくならば食堂の利用促進もはかるため、1週間に1回食堂を利用することも追加しました。そして、その日の昼食代金を最大500円まで補助するようにしました。
補助金は10月29日(木)から始め、12月10日(木)で使い切りました。1か月以上昼食代が補助されたことは自分も学生の一人として、とてもありがたいと思いました。
一度は否決されたこの昼食補助はやってみると学生からも好評で、今年は歓迎会等も出来なかったので、その分に充てる予定だった自治会費を使って1月末まで延長することになりました。コロナの影響で何もできなかった中、こうした機会をいただき、学生生活を少しでも良いものにできたかと思います。ありがとうございました。
短信
特別授業 ピアニスト 高 実希子氏による「ロシア音楽紀行」
10月16日(金)の4限目、ピアニストの高実希子さんを講師にお招きし、全学生を対象とした特別授業を講堂で行いました。
高さんは函館市内在住ですが、国内外を問わず広く演奏活動をされています。一昨年の函館校開校25周年・函館日ロ親善協会設立30周年記念コンサート“「極東の窓」から”、にご出演いただき、函館校の学生にとってはすっかりおなじみとなりました。
また、昨年3月には日露地域交流年のイベントとして、ウラジオストクのマリインスキー沿海地方劇場でも演奏を披露されていて、ロシアとの縁も感じます。
今回は「ロシア音楽紀行」と題し、「ロシア5人組」と称される作曲家や、バレエ・文学に深いかかわりのあるロシアのクラシック音楽という広く厚いテーマを学生にわかりやすく講義していただきました。
ロシア国歌やプロコフィエフ「ロメオとジュリエット」の一節のピアノ演奏も堪能できました。
杉本客員教授による特別授業「日ロ貿易論」
11月24日(火)、毎年一度開講される全学年対象、杉本侃・客員教授による「日ロ貿易論」を実施しました。例年は6月に杉本客員教授が来函されますが、今年は新型コロナウイルスの影響を考慮し、この日先生は長野県から配信し、学生は講堂で受講するオンライン授業で行いました。
今年は “After Corona New Normal?”や“コロナ禍の日ロ貿易”を題材に加えながら、資源大国ロシアと資源貧国日本との関係を、様々なグラフを多用し、詳細に解説していただきました。また、終わりに安倍・Putin時代の終焉と題し、27回も行われた日ロ首脳会談や領土問題についての考察もありました。
第13回 АБВГ-Day
12月16日(水)ロシア語学習促進と発表の場としての言語まつりАБВГ‐Day(アー・ベー・ヴェー・ゲー・デー)が開催されました。
例年、個人発表とチーム対抗戦を行っているのですが、感染予防対策を万全にするため今年は個人発表のみを行い、日ごろ学習しているロシア語で一人3分~5分ほど学生たちは発表をしました。
結果は以下のとおりです。
第1位 ロシア地域学科4年 竹内 のぞみ
発表「作家 三浦 哲郎」
第2位 ロシア地域学科4年 平原 響
極東亭リョーバ 「しくじり青年」
第3位 ロシア地域学科2年 中澤 純
発表「90年代のCDのブームについて」
芸術賞 ロシア地域学科1年 岡島 柊
アテレコ寸劇「色の世界」
<ロシア領事賞>
ロシア地域学科1年 弓田 眞悟
暗唱「エフゲニー・オネーギン」より抜粋
年内授業最終日に年忘れTeaパーティー開催
今年はコロナ禍で新入生歓迎会やАБВГ-Day終了後のパーティーなど、飲食を伴うイベントがことごとく実施できませんでした。
そのため、冬休み前の授業最終日にささやかな「年忘れTeaパーティー」と称し、教職員室に飲み物とお菓子を用意し、学生が都合のいい時間に銘々取りに来る形で、密を避けて行いました。
“函館校10大ニュース”を挙げて、卒論アーカイブや全道ロシア語弁論大会など、各学生が力を発揮した行事のことや、いろいろあったハプニングについて話題にしましたが、なんといっても一番のニュースは、学生教職員の間に新型コロナウイルスの感染者が1人も出なかったこと。来年も検温・換気・消毒・マスクといった基本の対策を徹底し、感染者を出さない努力を続けましょう。
ゴールデンウィークや夏休みも、旅行も帰省もしなかったみなさん、年末年始も函館にとどまる学生も思いのほかいるようですが、今年最後の授業の後に、楽しい気分で冬休みに入ることができたかな。
2021オリジナルカレンダー販売中
今回で5年目となる、毎年大好評のオリジナルカレンダー、2021年版を販売しています。このカレンダーは、学生が留学実習や研修等でロシアを訪れた際に撮影した写真を使用していますが、今年はコロナ禍で、留学を含め一切ロシアに渡航することができませんでしたので、昨年まで撮りためた中から厳選して作成しました。モスクワ、スーズダリ、ウラジオストク、ムルマンスクの4都市の写真を使用し、学生ならではの視点で撮影した興味深い被写体ばかりです。ぜひ1年間飾っていただき、ロシア芸術の奥深さや建築物の美しさ、魅力あふれるロシアを目に留めていただければ幸いです。
カレンダーは本校事務局で1部500円にて販売中です。このカレンダーの収益は学生自治会に繰り入れて、学生の活動に役立てます。
郵送ご希望の場合は1部610円(送料込み)で販売しています。なお、郵送ご希望の場合、郵便切手でのお支払いとなります。住所・氏名・電話番号を明記の上、郵便切手(610円分)を事務局宛にお送りください。切手はなるべく100円切手×6枚または120円切手5枚でお願いします。また、複数部ご希望の場合は送料が変わりますので、その旨お問合せください。
詳細はホームページ https://www.fesu.ac.jp/をご覧ください。
就職
ジョブカフェ「企業と学生の交流会」開催の案内
学生と企業が互いの“生の声(本音)”で話すことにより、学生が就職活動前から“働く”イメージを持ち、社会人の一員としての準備期間を送ることを目的とした「企業と学生の交流会」をオンラインで開催します。
地域に根ざした企業から学生に対して、企業情報や地域経済における位置づけや展望、働くやりがい等を伝え、学生の企業理解、産業理解を促進することを目的とします。
1年生が対象ですが、他学年でも参加可能です。この機会を積極的に活用してください。
日時:1月21日(木) 14:40~16:10
場所:3F 講堂
講師:津軽海峡フェリー株式会社
管理部総務チーム 西村 百代 氏
(オンラインによる参加)
対象:1年生は全員参加、他学年は任意です。
主催:ジョブカフェ北海道
学務課お知らせ
卒業目前!4年生新春座談会のお知らせ
ロシア地域学科4年の学生が、卒業前に3年次ウラジオストク留学実習を大きなテーマにして座談会を行います。
4年生の皆さんには、留学実習中の写真を用いて、主に留学実習参加予定の現3年生と2年生を対象にウラジオストクの情報提供をしてもらいます。
現在、学内の留学経験者は4年生のみです。卒業してしまう前に貴重な体験談を聞いてみましょう。
日 時:1月19日(火)14:40~15:40
場 所:3F 講堂
対 象:全学年
日本銀行函館支店による特別授業のお知らせ
日本銀行函館支店長 加藤健吾氏に、経済と金融について講義していただきます。前職で「金融経済教育活動」を担い、大学での講義も多数こなされています。
働いてお金を稼ぐとはどういうことか、日銀の役割など、金融リテラシーについてのお話です。
テーマ:「経済って何、金融って何」(仮題)
講 師:日本銀行函館支店
支店長 加藤健吾氏
日 時:2月16日(火)14:40~16:10
場 所:3F 講堂
対 象:全学年
卒業試験日程
1.ロシア地域学科4年生は、下記の日程で国家試験を行います。
国家試験 3月 2日(火)
卒業論文審査会 3月 3日(水)
(場所:3F 講堂)
2.ロシア語科2年生は、下記の期間内で卒業試験を行います。
3月2日(火)~3月5日(金)
3.ザチョットは、以下の日程で行います。
後期試験日程
1.ザチョット
2月22日(月)~2月26日(金)
※2月23日(火)は祝日ですが、通常授業
(ザチョット)です。その代わり3月1日(月)
が振替休日です。
2.エグザメン
3月 2日(火)~3月 5日(金)
3.再試期間
3月 8日(月)~3月12日(金)
卒業年次以外の学生にのみ、この期間に再試験を行うことがあります。
出席率不足の学生は
本校は出席率80%以上が期末試験の受験資格となっています。出席率が低かった学生は受験資格を得るため担当教員の指導を受けてください。
石館とみ奨学金審査会
「石館とみ奨学金」は、日ロ交流を担う優秀なる人材の育成と、教育成果の向上を図ることを目的とし、今年度の学修成績上位者でかつ、社会奉仕の精神が顕著にみられるものに学資として給付される奨学金です。
その奨学金選考審査会を3月17日(水)に行います。この奨学金には自己推薦制度があります。奨学金を希望し、選考基準を満たす学生は、3月15日(月)午前中に行われる教授会に自分を候補者として推薦できます。この教授会において奨学生候補生に選ばれ選考審査会へ推薦された学生には、その後すぐ本人へ通知しますので、学校が指定した日時に登校し、選考審査会と準備について、事務局で説明を受けてください。この説明会と選考審査会には学生本人が出席しなければなりません。
採用は2名を上限とし、2名採用の場合は1名につき17万5千円を、1名採用の場合は35万円が支給されます。
パスポートの取得について
今年、留学実習に参加する、あるいはJT海外インターンシップやプーシキン大留学プログラム等を希望し、ロシアへの渡航が予想される学生で、現在パスポートを持っていない人は、3月~4月の春休み中には必ず申請してパスポートを取得しておいてください。
現時点では留学実習もインターンシップも未定ですが、いつでも行ける準備はしておきましょう。
なお、ロシアへの渡航には、パスポートの有効期限は、申請するビザの出国期限より6ヶ月以上必要です。渡航前にしっかりとチェックし、必要な場合は更新手続きをしてください。
お知らせ
第23回はこだてロシアまつり
2月11日(木・祝)に開催します。まつりのテーマは「ほっと一息ロシア」です。
まつりは、極東大函館校オリジナル版のマースレニッツァを行います。寸劇や学生が歌う歌で賑やかに盛りあがり、寒く暗い冬に別れを告げる儀式として、冬の象徴であるモレーナ(体長2メートルのわら人形)に火を放ちます。
今年は三密を避けるため、屋内でのイベントは実施せず、また衛生管理を徹底して、屋外で楽しんでもらえる催物を絶賛企画中です。ぜひ、みなさんお揃いでお越しください。
なお、当日は駐車場が使用できませんので、公共交通(市電・バス)をご利用ください。
今後の社会情勢により、内容の変更や中止となる場合がありますので、詳細は近くなりましたら本校ホームページでご確認をお願いします。
卒業証書授与式等案内
令和2年度第26回卒業証書授与式は、次の通り挙行します。
○卒業証書授与式
日時:3月19日(金)午前10時
場所:3F 講堂
○卒業式リハーサル
卒業式前日の18日(木)10時より講堂で行います。
卒業予定者と送辞担当者は必ず出席してください。
○自治会主催 卒業生を送る会
19日(金)卒業式終了後に講堂で開催します。
※卒業式、自治会主催 卒業生を送る会は、学生全員参加となっています。
※今年度、同窓会パーティーはコロナのため中止します。
函館日ロ親善協会からのお知らせ
10月~12月の主な活動実績
クリスマスパーティーは中止しました
前号で、12月中旬には札幌からマーリン・セルゲイ総領事をお招きして講演会ならびにクリスマスパーティーを企画、とご案内しましたが、コロナウイルス感染拡大の様相からやむなく中止といたしました。
係りより
コロナという予期せぬ事態に、留学実習や海外インターンシップは延期や中止を余儀なくされましたが、そんな中とは思えぬほど学生が良く考え、よく行動した2020年下半期でした。様々なことがオンラインになる中で戸惑いながらも楽しみ、そこでの経験や成果が読み取れます。(福尾)