杉本侃客員教授による特別講義が開講されました
本校では、年に1回、杉本客員教授による特別講義「日ロ貿易論」を実施しています。
杉本先生は、東京外国語大学ロシア学科を卒業後、(社)ソ連東欧貿易会(現:ロシアNIS貿易会)、サハリン石油開発機構(株)に長年勤務され、さらに日本経団連日ロ経済委員会事務局長などを歴任、現在はERINA(環日本海経済研究所)副所長として、ソ連時代から現在に至るまでの長きにわたり、日ソ・日ロ経済関係、なかでもエネルギー問題の専門家として活躍されています。
本年度の特別講義は6月9日(火)に行われました。始めにウクライナ問題の現状、続いてウクライナ問題がロシア経済や日ロ貿易に与えている影響についてお話され、後半は、近刊のご著書『サハリンの石油天然ガス開発 -日ロエネルギー協力の歴史と期待』(日本評論社)で詳しく触れられている、サハリンにおける石油天然ガス開発の歴史と今後の展望について講義いただきました。
学生からは、欧米側の視点だけでなく、プーチン大統領の主張を基にウクライナ問題を解説していただいたことで、双方の異なる立場からこの問題を眺めることができた、という感想や、1975年にSODECOが設立され、30年間も石油が出ないのに会社が続いていたとは驚いた、などという声が上がりました。サハリンプロジェクトについては、杉本先生から本校に寄贈いただいたご著書を読み、さらなる知識を身につけましょう。
講義終了後、学生から出された質問にひとつひとつ丁寧に答えていただきましたが、中でも、「ソ連時代には、北方領土問題が日ソ貿易の障壁となることはなかった」、という説明は学生たちには新鮮だったようで、じっと耳を傾けていました。また、「卒業後、仕事でロシア語を使わなくても、ロシア語を勉強したという実績をどこかで生かす努力をしてほしい、ロシアは大切な隣人であるという意識を持って生きてほしい」、という杉本先生からのメッセージに感動する学生もいました。
今回の講義は、ロシアのスペシャリストを目指す本校学生が新たな知識を得る機会であり、同時に、約半世紀もの長きにわたりソ連・ロシアと向き合ってこられた日ロ経済専門家と対話するという貴重な機会にもなりました。