お知らせ

特別授業「経営論入門」を行いました。

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 株式会社五島軒代表取締役社長若山直氏による特別授業「経営論入門」が、6月16日に行われました。
 五島軒は、開港都市函館に明治12(1879)年にパンやロシア料理の西洋料理店として始まり、現在も伝統と歴史を継承しつつ、フランス料理やロシア料理、各種カレーを供するほか、ケーキ類も販売するレストランです。本店は本校から徒歩5分、函館山の麓に広がる教会群のすぐそばにあります。
 若山社長からは、創業当初は函館に寄港する外国船でパンを売っており、店は港の近く(現在の海上自衛隊基地の横)にあった。4度の函館大火で、店は焼けても焼け跡に残った鉄のストーブとオーブンでパンを焼き、調理し、一日も休まず商売を続けてきた。店の大事な「ステンドグラス」は、窓から取り外し可能となっていたため、持って逃げた。この「ステンドグラス」は、10数年前に本店隣の倉庫が放火され、本店の屋根から火が入り失われた。1千万円かけてこれを再生することにした。企業経営者には決断が必要だ。伝統を守り続けるだけでなく、新製品開発や新ターゲットの開拓を行ってきて、「青函活性化ファンド」(北洋銀行と青森銀行が2014年に組成した官民ファンド)第1号に選ばれたなど、様々な実体験が語られました。
 また、函館について、(1)(国鉄時代の)青函局、(2)漁業、(3)函館ドックの三本柱で成り立っていたが、(1)は青函トンネル開通で青函局に勤務していた5,000人もの人たちが函館を去り、(2)200カイリ問題で北洋漁業はダメになり、(3)造船所の「函館ドック」は経営破綻し(現在は「函館どつく」として再生)、これで函館はもうだめか、と思われたが、1988年の青函博を契機に、函館は観光都市へと方向転換した。赤レンガ倉庫群が整備され、函館山ロープウェイが開通した(現在のロープウェイは125人乗り)、などと、経営者の視点でお話しされました。
 講義の最後は、実例を挙げながら、「早すぎる事業は成功しないということも経営論の一つである」、という自論でもって結ばれました。
 学生からは、「講義が面白かった」、「わかりやすかった」、あるいは、「函館の歴史を知る良い機会だった」、などといった感想が聞かれました。 
 136年の伝統を守りつつ、新たな挑戦を続ける老舗地元経営者が語る「経営論」をお聞かせいただき、どうもありがとうございました。

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