自然には悪い天気がない
ロシア極東国立総合大学函館校 講師 イリイン・ロマン
私は1997年、札幌で行われた「北東アジア・米国学生集中講座」に参加しました。「自然環境保護と地域文化の尊重」というテーマで5カ国(日本、ロシア、アメリカ、中国、韓国)から20人の学生が札幌に集まって、講義を受けました。当時私は大学の3年生で、日本に来たのは2回目、北海道は初めてでした。あの時までは日本人以外の外国人と会話する機会がなかったし、市内視察、研修旅行などいろいろ面白いことがあったので、今も札幌での滞在は記憶に残っていますが、今回の話は国際交流とか異文化についてではありません。
講座では海洋汚染、砂漠化など、つまり地球の自然環境を守ることの重要性について語られていましたが、私は講義でのある先生の言葉が強く印象に残りました。「地球温暖化問題は来る21世紀には間違いなく深刻な問題になり、 最も我々の生活に影響を与えるものと考えられます」。
温暖化問題がいつから認識されはじめたのかよく分かりませんが、90年代にはこの問題はマスコミでまだ話題に上っていなかったと思います。
そして、その時から10年が経って、世界は21世紀に入りました。先生が言った通り、今は地球温暖化が叫ばれて、本当にホットニュースになりました。マスコミは一般人を脅かして、温暖化による人類の破局の光景を描写しています。例えば、私が先日読んだある新聞記事によると、永久凍土の溶解で2050年までにロシア北部の建物や道路、パイプラインなどのインフラが破壊される可能性が高いそうです。また、地球の平均温度が2度上れば40%の種が絶滅の危機に瀕するという話がありました。恐ろしい予測でしょう!
まさに、最近は地球がおかしくなったと思います。今年は1月になってからモスクワの動物園では熊が冬眠に入り、一方、同じく異例の暖かさにサンクトペテルブルクの熊が1月に冬眠から目覚めました。ヨーロッパの一部では春に咲く花が冬に開きました。北海道も去年の冬の豪雪から、今年は雪不足で函館周辺のスキー場が閉鎖されました。また、ウラジオストクでは100年以上ある観測記録史上初めて3月に最多降雪量を記録しました。ここ2、3年で世界の各地でこのような異常気象がたくさん発生しましたが、地球温暖化がもたらす被害は凄まじくなるという予想を信じたくありません。幸いに、多くの学者は異常気象を温暖化と直接結びつける根拠はなく、原因は暖流のエルニーニョ現象だと言っています。
それを信じたいです。
そして、有名なロシアの歌の文句によると「自然は悪い天気がなくて、それぞれの天気はすばらしいです」。
はこだてベリョースカクラブのお知らせ
ベリョースカクラブは、毎回違った角度からロシアについての話題を提供し、ロシアへの理解を深めていただくため開催しているもので、今年で8年目になります。
≪5月21日、 6月18日、 7月23日、10月1日、11月5日、12月 3日、2月19日≫の午後3時から1時間、ロシアの楽しい話題を日本語で気軽に聞く事ができます。年会費は3,000円、
5月2日までにお申し込みください。
なお、お申し込み多数の場合は、初めての方を優先させていただきます。
詳しくは本校事務局まで。どうぞお気軽にお問い合せください。
事務局TEL 0138-26-6523
ロシア語市民講座のお知らせ
今年も5月7日(月)から、ロシア語市民講座が始まります。
コースは入門・初級・中級・上級の4コース。それぞれ定員は10名です。
開講は毎週月曜日(祝祭日の場合は翌日)午後6時30分から8時まで、料金は前期12回24,000円、中期12回24,000円、後期10回20,000円です。学生の方には学割があります。
お申込は本校所定用紙で4月27日(金)までに手続きをして下さい。
詳しくは本校事務局まで。どうぞお気軽にお問い合せください。
事務局TEL 0138-26-6523
再試験日程
再試験の手続きをして下さい
前年度の不合格科目のある学生を対象に4月10日(火)から4月24日(火)まで再試験期間を設けます。
前年度の不合格科目の再試験受験は有料となります。1科目1回につき再受験料1,000円を添えて、再試験願を事務局に提出し、その後、担当教員から試験日時の指示を受けて下さい。
なお、この期間中に合格できない場合は留年が確定し、前年度と同じ学年で再履修をする事になります。
留学実習説明会
パスポートの取得は早めに
9月にウラジオストクへ留学予定のロシア地域学科3年生を対象に第1回留学実習説明会を実施します。日時は5月17日(木)午後2時40分から、場所は第7教室で行います。
第1回説明会では、留学実習の日程、留学時の注意事項、準備の手順などをお知らせします。
第2回説明会ではパスポートが必要です。パスポートは必ず6月初旬までに取得しておいてください。
なお、第2回説明会については後日掲示してお知らせします。
学生課よりお知らせ
校舎の利用時間
本校の校舎利用時間は、平日の午前8時30分から午後5時までです。この時間外に校舎を利用したい場合は、事前に事務局に申し出て許可を受けてください。
掲示板について
学生への諸連絡は、校内掲示板への掲示によって行われます。事務局・学生係・教務係・自治会からの連絡事項がそれぞれの掲示板に貼り出されます。
各自の責任において毎日すべての掲示板をチェックし、連絡事項等の見落としのないようにして下さい。
欠席した学生は
本校では、授業の出席率80%以上が試験の受験資格となっています。やむを得ない事情で欠席した学生は、各自、担当教員へ補習授業を申込んで指導を受け、欠席分の遅れを取り戻しておく必要があります。
なお、授業を欠席する場合は、事務局へ事前に欠席届を提出しなければなりません。やむを得ず事前の届出ができない場合は、まず電話で事務局学生係へ欠席する旨連絡をし、その後事務局へ正式に欠席届を提出してください。
論文作成ガイダンス
4月17日(火)、午後2時40分より7番教室で論文作成に関するガイダンスを実施します。対象学年は、ロシア地域学科3年生と4年生です。
ガイダンスの中で論文作成に必要な基本的事項や作成の進め方、作成上の諸注意等をお話いたします。指導は主に鳥飼先生が行ないますが全教員が出席します。必ず出席するように。
奨学金
奨学生募集説明会
日本学生支援機構の奨学生募集説明会を行います。日時と場所は、4月12日(木)午後2時40分から、第7教室で行います。奨学金を希望する学生は必ず出席してください。
なお、この日都合で出席できない学生は前日までに事務局学生係へ申し出てください。
予約進学者は
本校入学前に奨学生採用候補者に決定している新入生は、進学届・確認書・振込口座届を4月13日(金)までに事務局学生係に提出してください。
就職活動支援
ロシア語科2年生とロシア地域学科4年生は、前年度より就職活動を行なっております。引き続き個別に相談活動を進めます。
今年度から、新たに「キャリアサポートセンター室」を開設し、ロシア語科は1年から、ロシア地域学科は2年から計画的に就職に向けてのサポートを行なっていきます。今年度1回目のガイダンスは、4月18日(水)に実施します。時間、場所(教室)は後日掲示により連絡します。
短信
第12回ロシア語弁論大会開催
2月16日(金)に第12回ロシア語弁論大会とマースレニッツァを開催しました。
今年で12回目を数える弁論大会は、本校学生のほか、研修中の税関職員、北海道教育委員会研修生(道立高校教員長期研修生)の方々も出場し、在札幌ロシア連邦総領事館函館事務所ウソフ・アレクセイ所長、函館市企画部国際課倉田有佳主査、本校教授パドスーシヌイ・ワレリーの審査により行なわれました。
今年は、暗唱の部、弁論の部に分かれ、日頃の学習成果を競い合いました。暗唱の部では、本校1年生を対象とし、与えられた5編の詩の中からひとつを選び暗唱を行ないました。ロシア語は美しい響きが魅力の言語であり、ロシアの学生は授業で必ず詩や短文の暗唱を行なうことに倣ったものです。審査の結果、情感あふれる暗唱を披露したロシア地域学科1年五代まゆみさんが優勝しました。
弁論の部では、税関研修生、北洋銀行研修生が対象のⅠ部と本校学生と北海道教育委員会研修生が対象のⅡ部に分かれ発表しました。
まず、Ⅰ部では、今年1月から函館校で研修中のみなさんが、3分間のスピーチを行い、質疑に応じました。全員研修を始めて1ヶ月あまりとは思えない立派な弁論で、審査員からの質問も自然と難易度の高いものになってしまうほどでした。「稚内とロシア」と題して発表した稚内税関支署の山下仁志さんが稚内の街や仕事の内容について発表して優勝。ウソフ所長からロシア大使館賞も合わせて贈られました。Ⅱ部は4分間のスピーチと質疑応答で、道教委研修生の山崎淳司さんが優勝しました。山崎さんは高校教諭で、道内の高校生にロシア語教育を行なうため、本校で1年間ロシア語や教授法について研修。「出会い」と題し澱みない発表と審査員からの質疑に対する見事な応答で、観客の投票による聴衆賞も合わせて受賞しました。また、新設された校長賞は4年間の学生生活を振り返り、「四年分のありがとう」と題して発表したロシア地域学科 松井唯寧さんに贈られました。
各賞受賞者は下記のとおりで、入賞者の発表原稿は本校のホームページでご覧いただけます。
〈第12回ロシア語弁論大会結果〉
暗唱の部(本校1年生対象)
第1位 五代まゆみ(ロシア地域学科1年)
第2位 吉野 星(ロシア地域学科1年)
第3位 山口 攻(ロシア地域学科1年)
弁論の部(本校生)
第1位 山崎淳司(道教委派遣研修生)
第2位 小林真実(ロシア地域学科2年)
第3位 松井唯寧(ロシア地域学科4年)
弁論の部(税関研修生)
第1位 山下仁志(函館税関稚内支署)
第2位 澤田尚季(函館税関網走出張所)
第3位 廣島 基(函館税関紋別出張所)
特別賞
校長賞 松井唯寧(ロシア地域学科4年)
ロシア大使館賞 山下仁志(函館税関稚内支署)
聴衆賞 山崎淳司(道教委派遣研修生)
春よ来い!マースレニッツァ
弁論大会終了後、午後からは厳しい冬を追い払い暖かな春を待ち望むロシアの伝統行事である「マースレニッツァ」を行いました。
「マースレニッツァ」は、農耕を営んでいた古代スラブ人の生活に根ざしたお祭りで、その後、ロシア正教の影響を受けながらも今も民衆の祭りとして親しまれています。ロシアでは2月上旬に、冬を象徴する女性のワラ人形「モレーナ」を燃やし、太陽のシンボルとされるブリヌイ(=ロシア風クレープ)を皿に積み上げ、さまざまな具を包んで食べて歌や踊りなどで春の到来を祝います。
今年は日本も、そしてロシアも暖冬。函館もいつもの冬と違い根雪がなく、追い払うべき冬がないのではと心配されましたが、前日に降った雪と当日の晴天でまつりムードも盛り上がりました。
まず、鬼たちが冬を謳歌し、観客に雪球を投げて攻撃を仕掛けます。そこへヤギに乗った「太陽」と春の神「ヤリロー」が現れ、鬼たちを箒でたたき出し、春の到来を告げたのでした。本校コーラスグループ「コール八幡坂」がマースレニッツァの歌を歌う中、モレーナに火がくべられると冬の象徴はあっという間に燃え尽きたのでした。
この日はブリヌイのほか、シャシリク(串焼肉)やコンポート(果物の温かい飲み物)、紅茶をみんなで用意しました。今年のスープはチキンレッグと野菜がたっぷり入ったあっさり塩味で、体も心も温まり春を感じる一日となりました。
卒業生からの投稿
知識と経験
ロシア地域学科 久田 賢明
私は常に思う。本校学生がロシア語を上手に話す人間に足り得るのか?私達が果たして(日常に支障を出さない)日常会話レベルに達しているのだろうか?4年間を通して学んできたが、残念ながら、足り得ない、達していない、が答えである。もちろん、ロシア語を話せる・書ける・聞けるレベルにはあるのだが、それは平均なものであり、ずば抜けて話せる、という事ではない。
よく人は言う。「ロシア語ができてすごいね」と。だから私はこう答える。「ロシア語を勉強しているから」と。これは身もふたもない答えなのかもしれない。しかし、教育大学に通う人も、医療学校に通う人も専門知識を身に付けている。私には人を教える技術はないし、病名やその原因等を詳しく知らない。私からすれば、そういった人達は「すごい」のである。経験していない人からみると、その分野を知る人は「すごい」人に見えてしまう。それは喩え経験をしている人が小さな知識しか持っていない人であってもそう見えてしまうのだから不思議だ。簡単に言えば、自己紹介をロシア語で話せるだけで充分「すごい」と言われるレベルに達しているのだ。
私達はそれで満足していいのか?世間的に評価されるだけでいいのか?私達がもし自分がうまくロシア語を話せると感じたのであれば、それは驕りである。
私達が学ぶロシア語の世界は学校一つではない。身近な世界で言うなら通訳の仕事、留学だ。そして学生生活4年間の時間をロシア語という枠だけに収める必要もないのだ。後輩達よ、色々な経験をして色々な知識を蓄えて欲しい。経験と知識を数多く持つ人間、そんな人間に成長していってもらいたい。また、私もそんな人間になれるよう日々を精進しよう。
進めば、何かを見つける、動けば、何かが変わる。
今を生きる
ロシア地域学科 川畑 真樹子
『4年間の大学生活は長い。きっと、飽きる』。ある人に私はそう言われたが、それは大きな間違いだと思っている。
もともと私は外国語が好きで(残念な事に得意とは言い切れませんが)、進学するなら語学を学べる学校が良いと心に決めていた。しかし函館から出る事は許されず少し困り果てたが、そんなに悩む事ではなかった。函館にはロシア語を教える学校がある。英語も好きだったが、外国語に対して関心が高かった私はロシア極東大学函館校へ行く決心をした。 不純な動機ではあるが、私が当時テレビで見たソルトレイクシティー五輪で、とあるロシア人のフィギュアスケーターのファンになった事も決めた理由の1つである。
実際に入学してからの感想は、きついの一言に尽きた。しかし、ある程度の時間が過ぎると、このきつさが良かったなと思えた。私を知る人間は、私のことを決して勤勉ではなく、怠け者と思っていたし、人に指摘されるとその通りだと認めた。
だから、私に忠告してくれたのだろう。
『4年間の生活は長すぎて、耐えられない』と。
長い?いいや、そんな事は全く無かった。 特に3年生に入ってから時間の経過が余りにも早すぎて驚いたくらい。 前期は留学へ行くために勉強と試験をこなし、試験が終わると留学の準備。 準備が終わったと思ったら新潟にいた。 そして、気がついたら帰国前日だったりと・・・早かった。
しかし、4年生になると加速度はさらに増した。1分が1秒なのではないかと思うくらい早くて、もっと時間が欲しいと呻いたこともある。
あるスポーツ選手が雑誌で、好きな言葉に『Seize the day.』と書いていた。
意味は『今を生きる』。
この言葉を見た時に、自分はまっとうに今を生きているのだろうか?と率直に思った。まだ、その答えは見つけられない。ただ4年という時間は、自分にとっては余りにも短すぎてあっという間だった。確かに普通に考えれば4年という時間は、決して短くはない。でも、ここにいたおかげで長いとは思わなかったし、むしろ、足りないと思うくらい充実した日々を過ごせた。他の大学または専門学校へ行ったら・・・と思うと少し恐ろしい。普通の学校では味わえない事も多々あった。時にそれが面倒だと思った事もあったが、今、振り返るとかけがえの無い思い出になった。何度も何度も1年生、または2年生の時に戻りたいと願った。しかし、時計は止まらない。戻りもしない。
共に4年間を過ごした同級生、頼もしい後輩、家族のような温かさを持つ先生方と事務の方々に出会えた事は、唯一無二の宝物となった。名残惜しいが、もうすぐ別れの時間だ。時は常に動き続ける。嘆いていても仕方が無い。それに、終わりが悲しい事だけとは限らないと私は思う。
思い出は走馬灯
ロシア地域学科 前馬 理慧
「卒業したくない」、これが今の心境。入学当初は、4年間の学生生活は長いと思っていた。しかし、3年になって、時間の経過を急に早く感じるようになった。3ヶ月間のウラジオ留学があったからだろう。帰国後、中断していた学年論文作成に取り掛かり、書き終えてほっとしたのも束の間、4年生直前。とにかく、3年時はあっという間に過ぎ去ったという感じである。
大学生活4年間を通して夢中なったことの一つに「ロシアまつり」がある。人の支え合いなしでは決してできあがらない催し、それだけに終了後には達成感を味わうことができた。
卒業を間近にした今、一日一日が惜しくてならない。もっと勉強すればよかった。後悔の気持ちが自然に湧いてくる。この後悔の気持ちを今後の生活に活かさなくてはと思う。在校生の皆さんは、後悔のない学校生活を送ってもらいたい。宿題が多く、時には投げ出したい気持ちになることもあるかもしれない。でも、後悔の残らないよう粘り強い生活を送ってほしい。努力した分だけ成果は手にできる。私も、この4年間の想い出を胸に、新たな出発をしたい。
ありがとう。出会えた人すべてに感謝したい。
感謝
ロシア地域学科 渡邉 晃久
4年間を振り返ると、本当にたくさんの事がありました。授業はもちろん、クラスメイトの交わりの中で、人間関係など、多くの事を学ばせていただきました。
今回、クラスメイト全員揃って卒業できることを嬉しく思います。しかも、全員、就職を決めての卒業。最高です。私も9月から、ウラジオストクでロシア語研修ができるようになりました。在校生、教職員の皆さんには、本当にお世話になりました。感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
2年間を振り返って
ロシア語科 今成 愛
この2年間を振り返ったとき先ず思い出すのは、学校はもちろんのこと家でも毎日毎日勉強していたことです。常に、教科書やプリントと向き合っていた気がします。課題に追われる毎日の中で、楽しむ気持ちを忘れ、気持ちの余裕をなくし、何のために勉強しているのかがわからなくなっていました。それでも勉強を休む事は許されず、続けていくことに自信を失くしたこともありました。でも、授業の中に必ず新しいことを知る面白さやロシア語を話す楽しさを気付かせてくれる瞬間があり、だから、ここまで続けてこられたのだと思います。そしてロシアまつりなどの行事はとても楽しく、そのたびに、ここに来てよかったと思いました。特に人形劇や民族衣装を着て踊ったことはとてもいい思い出になりました。
2年間の勉強を終えて、すばらしい環境でロシア語を学べたという喜びを感じています。どんなに大変なときも逃げ出さなくてよかったと思います。ロシアの文化を身近に感じる事ができたこの時間は、私にとってとても大切で貴重な経験となりました。ここで出会えたすべての人に感謝します。そして、この小さくて温かい学校で学べたことを嬉しく思います。
卒業、そして再出発
ロシア語科 荒木 梨馨
卒業して2週間が経ちました。今は実家に戻り、これから始まる新生活(新潟での仕事)の準備に追われ、多忙な日が続いています。そのような中でも、時には卒業アルバムや写真を見て懐かしい函館を思い起こしております。
思えば2年前、一抹の不安を抱えたまま入学しました。それまで私は会社に勤めていたので、安定した収入があり、それを捨て、再び学生に戻り勉学に励もうと決心するまで、自分の中でかなりの葛藤があったからです。
しかし、そのような懸念は学校生活が始まるにつれて徐々に払拭されていきました。授業と宿題の単調な毎日の繰り返しに多少の物足りなさと疲弊を感じながらも、世代を超えた友人たちの存在や個性豊かで博識な教授陣による密度の濃いロジカルな講義、そして函館の美しい眺望が私の心を奮い立たせてくれたように思います。クラスメイトにも恵まれ、多種多様で優れた考えの人たちとの交流は、私にとってとてもいい刺激となり、得るものも多かったです。
2年という期間はとても短いかもしれませんが、この学校で過ごした2年間は私のこれからの長い人生において、とても重要な意味を持つ期間だった思います。
様々な視点を持った素晴らしい人たちに出会い、触れたことで自分の視野も広げられ、人間的にも一歩成長できたと感じます。
卒業は、人生において一つの通過点にしか過ぎません。これから起こり得る状況の変化と苦難を想像すると楽なことばかりではないようということは、容易に考えられます。しかし、たとえ困難に直面したとしても今まで培った知識と経験があれば動じることなく冷静に対処できるはずです。まだまだ長い人生、変化の連続で、好むと好まないに関わらずそのようなことに適応していく力も必要とされます。状況の変化をリスクととるかチャンスととるか、それは自分次第。強固な意志をもって臨み、自分の世界を広げていけるよう日々向上に努めたいと思います。失敗を恐れず常に前進あるのみ。そう思えるようになったことが2年前の自分より成長できたことの証であります。
もし、あのまま会社勤めをしていたら堅実な生活があるだけで新しい事はなく、得るものは今ほど多くはなかったでしょう。
いつかきっと成長した自分を見ていただくために函館に戻って来たいと思います。第二のふるさとができたことはとても嬉しいです。いろいろ悩み、自分自身を模索する日々もありましたが、この学校への入学を決心したことは間違いではなかった、正しい選択であったと心から思っています。諸先生方、事務局の皆様、函館で出会ったすべての皆さんに感謝しています。本当にありがとうございます。
函館日ロ親善協会からのお知らせ
1~3月の主な活動実績
○ 3月22日(木)~4月5日(木)
日露修好150周年記念「ロマノフ王朝と近代日本」展(於:北海道立函館美術館)が開催されました。多くの会員の皆さんにご来場いただきました。
○ 3月25日(日)
函館の「ロシア宮廷料理」の夕べ(於:五島軒本店)が開催されました。会員の皆さんにご参加いただきました。
○ 4月1日(日)
記録映画「市制施行50周年記念『市民の船』」上映会(於:北海道立函館美術館)が開催されました。会員の皆さんにご参加いただきました。
ウラジオストク姉妹都市交流15周年、ユジノサハリンスク姉妹都市交流10周年という節目の新年度を迎えるにあたり、現在、事業計画を作成中です。
会員の皆様には5月開催予定の総会においてお示しいたします。今年度も皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
≪係りより≫
○ 皆さんのご協力により予定通り 今年度の第1号(通算51号)を発行することができました。ありがとうございます。
○ 今年も全国各地から精鋭を迎えてのスタートです。目指すは、“ロシアに精通したスペシャリスト”。目標に向かって心新たに、力強い一歩を踏み出していただきたい。
○ 次号の発行予定は7月です。皆さんの投稿をお待ちいたしております。(小笠原)