昔の思い出
ロシア極東国立総合大学函館校 助教授 イリイナ・タチアナ
90年代初め、私はウラジオストクの旅行会社で働いていました。当時はペレストロイカのはしりで、それによってロシア人の生活は大きく変わってしまいました。街中の商店には商品がほとんどなくなりましたが、国境が開かれ、外国との行き来が自由になりました。
教員、医師、事務員の給料はとても低く、それだけで生活するのは不可能でした。中国に行くことで一家の経済状態を良くしようと、休日になると(彼女達は平日は別の仕事を持っている)多くの女性が中国へ買い物に行くようになりました。スカート、シャツ、バッグなどを買い、その商品をウラジオストクで2倍の値段で売るのです。
ウラジオストクから中国国境までは乗り物に乗っても数時間かかります。一番近い中国の町は綏芬河(ソーフェンホ)です。私たち、旅行会社の社員は、ロシア人旅行者を中国へ連れて行かなければなりませんでした。綏芬河の町は当時、小さくて汚い田舎でした。私は住民の不潔さと貧しさに驚かされました。中国人は掘っ立て小屋で物を売り、そこで寝泊りもしていたのです。
中国行きはとても大変な仕事だったので、職場ではまるで戦争へ行くときのように私たちを送り出しました。貧しい中国人に物を盗まれたり、ホテルでは「前のお客さんはロシア人だったから大丈夫」と言われ、シーツ交換をしてもらえないので、自分達でシーツを持参したりしました。
列車には会社専用の車両があったので、他の乗客が入ってくることはできませんでした。
ある日、綏芬河で私たちは自分達の車両に乗り込もうとしました。通路いっぱいに荷物が置いてあったので、私は中国人に、自分の荷物を持ってこの車両から出て行くように言いました。すると、彼はナイフを取り出して、私を脅し始めたのです。私はツアー客に個室に入って鍵をかけるよう大声で叫び、私自身も個室に逃げ込みました。列車がロシア側の国境の町に着いたとき、私は警察に通報し、中国人は逮捕されました。
こんなふうにして私たちの中国行きは数年間続きました。
今では綏芬河は快適なホテルやレストラン、美容室などのある美しい町になりました。そして、中国の品物を売っていた多くのロシア人旅行者は豊かになり、自分の店を持つようになりました。
国境が開かれ、ロシア人が自由に外国に行けるようになった、あの大変だったけれど、おもしろかった時期を思い出すのが私は好きなのです。
人事
事務局がかわります
3月25日付けで新しく柴田知恵(しばたちえ)さんが、学生課学生係として着任しました。柴田さんは、本校の卒業生で、報道機関でのお勤めの経験もあり、活躍が期待されます。
また、田畑次長が2年間の研修期間を終え、函館市役所に戻ることになりました。事務局の業務が円滑に進むように配慮するとともに、この学校でみんなが気持ちよく生活できるように気を配ってくれました。本当にお疲れ様でした。市役所に戻ってからも益々のご活躍を期待します。
交代に函館市から派遣される次長は4月中旬に着任の予定です。
奨学金
奨学生募集説明会
昨年度まで日本育英会で行ってきた奨学金業務が平成16年4月1日発足した「独立行政法人日本学生支援機構」へ移管されることになりました。
新機構になってからの初めての奨学生を募集します。4月19日(月)午後2時40分から第5教室で説明会を行いますので、希望者は出席してください。
当日都合で出席できない学生は事前に事務局へ申し出てください。
予約進学者は
本校入学前に日本育英会の奨学生採用候補者に決定している新入生は、進学届・確認書・振込口座届を4月16日(金)までに事務局学生係に提出してください。
再試験日程
再試験願の提出を
前年度の不合格科目のある学生を対象に4月12日(月)から4月23日(金)まで再試験期間を設けます。
再試験を受ける場合、再試験料を添えて再試験願を事務局に提出してください。その後、担当教員から試験日時の指示があります。年度を越えた再試験は、1科目1回毎に1,000円の再試験料を徴収します。
なお、期間中に合格できない場合は留年が確定し、前年度と同一学年を履修する事になります。
進路相談
個人面談の実施
ロシア語科2年生とロシア地域学科4年生を対象に進路についての個別面談を行います。
日時は4月中旬から5月中旬の放課後の予定で、学生係の掲示板に掲示します。
求人情報については、今年度も、掲示板や図書室の所定のコーナーを使って提供します。見落としのないようにしてください。
留学実習説明会
パスポートの取得を
9月にウラジオストクへ留学するロシア地域学科3年生を対象とした第1回留学実習説明会を5月19日(水)午後2時40分から第5教室で行います。
第1回説明会では、留学実習の日程、留学時の注意事項や準備の手順などをお知らせします。
また、第2回説明会の際にはパスポートが必要ですから、6月中旬までに取得しておいてください。なお、第2回説明会については後日掲示します。
学生課よりお知らせ
校舎の利用時間
本校の校舎を利用できる時間は、月曜日から金曜日までの午前8時30分から午後5時までです。この時間外に校舎を利用したいときは、事務局に事前に申し出て許可を受けてください。
掲示板について
学生へのお知らせは掲示によって行われます。毎日必ず掲示板を見るよう心がけてください。
欠席した学生は
本校では出席率80%以上が期末試験の受験資格になっています。授業を欠席したときは、担当教員の補習指導を受け、遅れを取り戻しておく必要があります。積極的に補習時間を活用してください。また、授業を欠席するときは事前に欠席届を提出しなければなりません。事前の届出ができない場合は電話などで連絡し、その後速やかに届出をしてください。
短信
第9回ロシア語弁論大会・マースレニッツァ開催
2月13日(金)に第9回ロシア語弁論大会とマースレニッツァを開催しました。
今回の参加者は過去最多の20名。当校学生のほか、現在当校でロシア語研修を受けている税関、道教委の方々も出場しました。また、審査員として、函館市企画部国際課の倉田有佳主査、在札幌ロシア連邦総領事館函館事務所のウソフ所長ご夫妻に参加いただきました。
大会は、ロシア語学習時間250時間未満のBクラスとそれ以上のAクラスに分かれ、Bクラスは3分間のスピーチと簡単な質疑、Aクラスは5分間のスピーチと質疑を行い、出場者は、日頃の学習成果を思う存分発揮しました。
審査の結果、Aクラスでは「雅楽をロシアへ」と題し、笙も披露した当校ロシア語科1年、曽山郁朗さんが優勝し、賞品の新潟-ウラジオストク間の往復航空券を獲得しました。
Bクラスでは、稚内税関支署の戸田和俊さんが「馬」と題し、趣味の乗馬について発表し見事優勝しました。
午後からは、厳しい冬を追い払い暖かい春を待ち望むロシアの伝統行事である「マースレニッツア」を開催しました。
冬を慕う鬼に扮した学生たちが冬を象徴する女性のワラ人形「モレ-ナ」を外に運び出し、冬を謳歌しています。そこにヤギに乗った「太陽」と春の神「ヤリロー」が現れ、春の到来を告げ、鬼と戦う寸劇を披露。本校自慢の合唱団「コール八幡坂」がマースレニッツアの歌を謡い、大いに盛り上がる中、「モレ-ナ」に火がくべられると冬の象徴は天高く燃え尽きました。
儀式の後、形が丸いことから太陽=暖かな春を象徴し、「マースレニッツア」には欠かすことのできないブリヌイ(ロシア風クレープ)や、シャシリク(串焼肉)、シー(キャベツのスープ)などを食べながら、春の到来を祈願しました。
〈第9回ロシア語弁論大会結果〉
Aクラス
第1位 曽 山 郁 朗 (ロシア語科1年)
第2位 三 方 大 輔 (ロシア語科1年)
第3位 山 田 信 子 (ロシア語科1年)
Bクラス
第1位 戸 田 和 俊 (稚内税関支署)
第2位 高 柳 圭 太 (小樽税関支署)
第3位 菅 野 泰 光 (秋田船川税関支署)
聴衆賞 曽 山 郁 朗 (ロシア語科1年)
ロシア語市民講座のお知らせ
今年も5月10日(月)よりロシア語市民講座が始まります。
入門・初級・中級・上級の4コースがあり、各コースとも定員は10名です。
毎週月曜日(祝祭日の場合は翌日)午後6時30分から8時まで、前期12回24,000円、中期12回24,000円、後期10回20,000円の全34回68,000円ですが、学生の方は割引もあります。
本校所定用紙で4月30日(金)までお申し込みください。
詳しくは本校事務局までお問い合せください。
はこだてベリョースカクラブ
ベリョースカクラブは、毎回違った角度からロシアについての話題を提供し、ロシアへの理解を深めていただくため開催しているもので、今年で7年目になります。
5月17日、6月21日、7月26日、9月27日、10月18日、11月15日、2月21日の午後3時から1時間、ロシアの楽しい話題を日本語で気軽に聞く事ができます。年会費は3,000円、4月30日までにお申し込みください。
なお、お申し込み多数の場合は、初めての方を優先させていただきます。
学生からの投稿
四年間を振り返って ロシア地域学科卒業 新村 聡
卒業式を終えた今、ちょっと4年間の生活を振り返ってみました。
いろいろあり過ぎて総括するのは難しいのですが「楽しいことがギュッと詰まった充実した四年間」であったと思っています。特に、大門際や各種のイベントへの参加を通して、企画立案から実行に至る上で求められる様々な事柄を体験的に学ぶことができたことと、活動を通して交友関係を拡げることができたことが最大の収穫であったと受け止めています。
世間のことを全くといっていいほど知らないままに函館にやって来た私にとっては、街づくりに汗を流す社会人との出会いは、計り知れないほど大きなものでした。
一方、多彩な活動のしわ寄せが肝心の学業にかかってきて、興味のある科目以外は勉強せず、進級は毎回ギリギリ。学生としては決して優秀ではなかったと思っています。でも、好きなこと、やりたいことを自分で選び、思いっきりやってきた結果なので後悔はしていません。
今思えばどの先生の授業も密度が濃く、極東大学函館校で学び得たことに感謝と誇りを持っています。ロシア語は?と問われると「大丈夫」と自信を持って応えることはできませんが、ロシアが好きであり、ロシア語を学び続けようという気持ちは今でも持っています。
お世話になりました。ありがとうございます。
函館日ロ親善協会からのお知らせ
1~3月までの協会の主な活動実績
1月16日(金)
理事会開催;設立15周年記念事業等について協議
2月23日(月)
みちのく銀行会長 大道寺小三郎氏(当協会顧問)のロシア連邦大統領令による「友好勲章」受章並びに極東国立総合大学「教育部門名誉博士号」受賞、及び
頭取 原田和夫氏のハバロフスク国立教育大学「名誉博士号」受賞合同祝賀会
於:ホテル青森(青森市)倉崎会長出席
3月23日(火)
函館市国際交流団体連絡会議 倉崎会長出席
≪係りより≫
新しい年度がスタートしました。
皆さんの今年一年の目標は?お互いに、未来志向で明るい一年にしたいものです。
次号のミリオンズビョーストは、7月発行の予定です。原稿の締め切りは6月14日。今年こそ、少しでも新鮮さの感じられる紙面にしたいと考えております。皆さんからの投稿をお待ちしております。(小笠原)