グータラ猫のウラジオ日記9 一番かわいいウチの子たち
長らくお待たせしました・・・。グータラです。ブログを書かなかったのは、けしてグータラしていたわけではありません。ただ、何を書いたらいいのか分からないのです。あまりにもウラジオストクに慣れてしまったため話題が見つからない。
う~ん、じゃあ、今回は私のかわいい学生の、うぃ~(よい)お話をしましょう。前々回、ブログで「ある学生の書いた宿題」について書きました。その学生がなんと今回のスピーチコンテストに出場したのです。期待はしていなかったので、彼女に「賞をもらえなくてもスピーチコンテストは出ることに意義があるのです。」と、遠まわしにあんたのスピーチでは優勝できないから、期待せずにがんばりなさい(By・鬼)。的なことを言っておいたんです。やさしいでしょ?もともと性格のいい子なので、私にそんなことをチクチクと言われながらも、一生懸命練習をしました。原稿もありとあらゆるバリエーション(5パターンくらい)で作ったし、すべての原稿全部に発音記号をふったし、常にMP3を持ちあるいて発音の練習をするなど、淡々と仕上がっていきました。なにが凄いかというと、彼女は大学の勉強のほかに毎日「秘書」の仕事を5時過ぎまでしているのです。その後にまたスピーチの練習をして、家に帰ったら宿題もやって、原稿も覚えて・・・というハードスケジュール。でも、すべてをこなしてしまう人っているんです。1度も授業を休まない。1度も宿題をやってこなかったことがない。手をぬかない。性格もよく礼儀正しい。人を羨ましがらない。素直だから、ちゃんと言ったことをそのまんまやってくるので手がかからない。全く私と正反対の彼女。こういう人と一緒にいると気持ちがいいモンです。
こんな学生生活を送ったら、将来有望間違いなし!いい会社に入っていいお給料をもらえること間違いなし!!ウ・ハ・ウ・ハ☆ なんでしょうが、知っていてもなかなか出来ないのが人間。努力ほど報われるものはないのにね。
っとっと、そうそう、彼女の話。彼女の努力のおかげであまりにも発音が綺麗に直っていくもんですから、(こりゃあ、もしかしたら優勝いける?)と、まるで親心に欲が出たかのように、むしろ私に気合いがON。彼女に、ジェスチャーをつけるように指示。ジェスチャーがあるほうが観客の目を惹き、表現力もアップする。そうすれば、もちろん評価も上がりやすい~。すると、
女学生「私はジャスチャーを使いません。」
わたし「ジャスチャーを加えた方が評価は上がりやすいのよ。」
女学生「私は、普段からジャスチャーをあまり使いません。だから、私のスピーチでもジャスチャーを使う必要はありません。」
・・・その通りである。彼女は、自分らしさを曲げず、けして欲に引っ張られない強さがある。
神。えらい!あたしって、なんて欲の塊・・・。別にスピーチコンテストって試験じゃないし、上手に話せたか、観客に気に入られたかはただの結果にしか過ぎない。自分のスピーチを、自分らしさを消してまで話す必要はない。発音を直すのも評価のためではなく、スピーチを分かりやすく伝えるため。それは、全部自分のためにすること。ジャスチャーや大げさな表情をすると、実に表現力があるように思われ、スピーチコンテストには欠かせないトッピングのようだが、言葉だけでも魅力的ではないか。
ただし、余程スピーチが上手でなければ、トッピングなしのカレーなど・・・おっとと、スピーチなど味気ないもの。観客は3時間も言葉を聴きっぱなしので、視覚に届くものがないと飽きてしまう。
まあ、彼女の性格上、先代から続いてきたカレーの味をカツやエビフライをのせず、そのままのすっぴんカレーで勝負するタイプかな~と思う(カレー屋?)。
ということで、コトコトとじっくりカレーを煮込むように、練習を重ねてきて、いよいよ本番。いつもどおりに緊張を加えた控えめなスピーチでした。
はっきり言って私の感想。・・・・花がない!! と・いいますと、他の学生に比べてインパクトや声の張りや面白みに欠ける。ですから、(よかったね、日本語の勉強になったしいい思い出だったね)と心の中で、少し残念なような一つ仕事を終えたような気持ちでいたら・・・・なんと!優勝してしまいました。喜び以前に、マジ超意外なんだけど!って顔した女学生。驚きで泣いてしまった私(あほ)。それを見た応援団(彼女のクラスメイト達)が、真っ先に、私のほうに来て「先生おめでとうございます!」。
いえいえ、何にもしてないし、私が優勝したんじゃないし!むしろ、自分の教え子の実力も分からず、諦めさせようとした薄情な教師だし!!でも、私が泣いているもんだから、なんとなく私に「おめでとう」って言っちゃったのね。そばで、当の優勝者が大きなクエッションマークを頭にくっつけて、どんな反応をしたらいいのか困っている。滑稽である。
後で審査員に伺ったところ、他の人に比べて一番日本語が自然で、内容も悪くないし聞きやすかったそうだ。ふむふむ。いろいろなラーメンがあるけど、やっぱりシンプルなしょうゆラーメンにたどり着いてしまう・・・ということではないか!?
まあ、花があるとかないとか、物足りないとか、誰の意見も見解もどうでもよくて、「一番かわいいウチの子」が賞もらえて最高な気分なのである。
そして「一番かわいいウチの大学の学生達」が応援してくれてとっても感動!!かわいいかわいいかわいい。あーかわいい。
教師とは教える側だけど、実際教わる方が多いし、彼女のような学生なら、私よりもずっと知識があるし、これはもう、「私が学生に教えさせて頂いている」と言っても過言ではない。
ロシアの学生達はいつも私にプレゼントをくれる。それは物ではなく(物も結構もらう。ぐへへ。)彼らのがんばる姿や笑顔や優しさや純粋さ。それが時々何かの形になって現れて私を喜ばせてくれる。 ・・・チョコレート付きね。
彼らの側に居られる事は本当に幸せなことだと思う。今回もまた、ロシア人に「ドモ☆アリガト」なんである。
* ロシア人は「どうもありがとう」を「ドモ☆アリガト」と言います。「☆」がポイントです。