ロシアの地名と人名の意味
一般向け文化講座「はこだてベリョースカクラブ」の今年度第1回目の講話内容です。
テーマ:ロシアの地名と人名の意味
講 師:デルカーチ・フョードル(副校長)
さて、皆さんは日本人的に言うと「佐藤さん」「山田さん」にあたる、一般的なロシア人の名前をどの程度ご存知ですか?
ロシアで最も多いとされている名前は、「Kuznetsov(ロシア語:Кузнецов)」です。これは、英語圏でよく耳にする「Smith」とほぼ同じ意味で、鍛冶職人を表します。
もう一つ例を挙げましょう。「Medvedev(ロシア語:Медведев)」は、熊という意味です。なので、日本の苗字のようにすると「熊野さん」になるかもしれません。
今、二つ例を挙げましたが、どちらも「-v」で終わります。これは、「〇〇さん宅の△△さん」の「の」の部分です。日本でも昔は、「源頼朝(みなもとのよりとも)」と言っていましたよね。同じです。
さらに人の名前で特的なのは、男性名と女性名があることです。ロシア語の名詞には、性の区別があり、これが名前にも反映されます。女性の場合、多くは「ア」「ヤ」と言った語尾が付きます。
先程の「メドベージェフ(Medvedev)」は男性名です。女性名だと「メドベージェワ(Medvedeva)」になります。
街にもこの性は関係していきます。男性名詞の「gorod」は市や街を意味します。女性名詞の「derevnya」は村を意味し、中性名詞の「selo」は町を意味します。男性(子音)で終わる町は、大きな街なのです。
では、人名を元にした地名について話しましょう。一度は聞いたことのある「レーニン」の名前が由来の地名があります。この街の名前は今はもう無いのですが、例としては非常に分かりやすいものです。では、なんと言うのか。「レーニングラード(Leningrad)=レーニンの街」です。そのままです。ソ連崩壊後、元のサンクトペテルブルクに戻りました。
他には「エカテリンブルグ」は「エカテリーナ」が、「ニコラエフスク」は「ニコライ」がそれぞれ由来となっています。
人名のほかにも、名詞や形容詞が街の冒頭部分につくものが数多くあります。
「クラスノダール(Krasnodar)」は、ロシア語の「クラスノ(Красно-)=美しい、赤い」、「ダール(дар)=恩恵、賜物」はという意味があり、直訳すると「美しい賜物」「赤い恵み」となります。革命後の政治的な背景から、このような名前になりました。
最後に、日本と少しだけ違う住所について説明します。ロシアへ手紙を書く時に役立つかもしれません。書き方の基本は同じです。「地方自治管区(北海道)、街(函館市)、町(元町)、番地」の順のように、大きな区画から最後は番地や部屋番号などの数字となります。違うのは、町の部分です。ロシアでは、町(区)ではなく、「ウーリッツァ(通り)」を記入します。ロシアでは全てと言っていいほど、通りに名前がついています。この通りの名前にも、やはり人名が使われていたり、街の様子を表す形容詞がついていたりします。その後にくる番地にあたる数字は、中心部に近くなるほど小さい数字で、離れていくと大きな数字が付くのが一般的です。そして、郵便番号は6桁です。
グーグルマップで、ロシアのモスクワやウラジオストクの街を見て、人の名前の通りや、街を探してみてください。