極東の窓

ロシア極東連邦総合大学函館校がお送りする極東情報満載のページ。
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ロシアの料理

はこだてベリョースカクラブ

一般向け文化講座「はこだてベリョースカクラブ」の今年度第4回目の講話内容です。

テーマ:ロシアの料理
講 師:イリイナ・ソフィア(講師)

みなさんが思い浮かべるロシア料理とは何ですか?ボルシチですか?しかし、これは正確にはロシア料理とは言えないかもしれません。ウクライナから入ってきました。日本でも、ラーメンは日本料理ですか?中華?説明が難しいですよね。
まず、ロシアの伝統的な料理をお話しする上で欠かせない、ペチカについて話します。
ロシアの一般的な家の中にはペチカと呼ばれる、日本語で「暖炉やオーブン」を意味するものがあります。北欧から入って来たレンガ造りの暖炉は、ロシアで改良され発達しました。ヨーロッパのものとロシアのものとの違いは、大きさです。部屋の半分を占め、家全体を温める機能があります。コンロとして料理にも利用可能なほか、ベッドになったり、サウナとして使用することもあります。
ペチカで料理をする場合、少しずつ温度が上がっていく性質を利用するため、煮込み料理や蒸し料理がメインとなります。そのため、伝統的なロシア料理には、揚げ物はありません。
このペチカで、どのように料理をするのかというと、「チュグノーク」と呼ばれるツボを使いました。これでスープなど様々な煮込み料理を作りました。独特な形で、最初は粘土製でしたが、時代が進むと鉄性のものがでてきました。ペチカに入れると温まり、取り出せなくなるので、鍋つかみと呼ばれる棒を使います。
さぁ、料理についても話しましょう。
「シチー(画像①)」は、ロシアでもっとも親しまれるキャベツをベースにした野菜スープです。
「ぺリメニ(画像②)」は、ロシアのウラル地方から広まった、いわゆる水餃子です。
「クンデュムイ(画像③)」は、ぺリメニにているものですが、違うのはオーブンで焼き、サワークリームも入っています。
「スィールニキ」は、カッテージチーズが中に入ったパンケーキのような菓子です。18世紀前までは、一般的にマースレニッツァで食べられていました。今のマースレニッツァではブリヌイを食べます。今日参加している皆さんの中には、2月に行われたロシアまつりで販売したので食べたことがある人もいますね。
「スーシキ、バランキ、ブープリキ(画像④)」は、形は違いますが、すべて固いパンです。調理方法は共通点があり、パン生地をお湯に入れてつくります。そのため、澱粉が固まり、日本でいう「乾パン」のような固いパンが出来上がります。ロシアの有名な画家ボリス・クストーディエフの「御者」という絵画で食事風景があります。朝食か昼食かはわかりませんが、バランキが描かれています。
さて、ロシアのパンといえば、日本では「黒パン」と呼ばれる、ライ麦パンではないでしょうか。小麦よりもライ麦のほうが、育てやすいのですが、作り方が難しいため、現在のロシアの店先でも100%のライ麦パンはありません。基本的に、少し小麦が配合されているものが多いです。
ロシアにも漬物の文化があります。特徴は、酢を使わずに、乳酸発酵で作ります。また使われる材料は、日本ではあまり見ない小さなきゅうり(画像⑤)を使って作るのがロシアでは一般的です。そしてそのピクルスを使って、スープを作ります。日本人的に言うと、漬物でスープをつくるなんて!と思いますよね。
お菓子の話もしましょう。パネットーネはイタリアの伝統的なドライフルーツのはいった菓子パンですが、同じものがロシアでは「クリーチ(画像⑥)」と言います。復活祭の時に食べられる伝統的なパンです。缶詰のような円筒形に高く焼き上げられ、冷ましてから砂糖でデコレーションしていきます。
「プリャーニキ」という伝統的なお菓子は、小麦粉をベースにした生地で作る焼き菓子です。蜂蜜やしょうが、クルミ、ジャムのほか香辛料が使われています。
ロシアの料理のお話しをここまでしてきて、興味を持った方もいるでしょう。今日は、この「プリャーニキ」とライ麦ピロシキ「カリートキ」を作りましたので、食べてみてください。素材を生かした素朴な味わいです。「カリートキ」は、レシピを教えますので、今日食べて気に入った方は、お家でも作ってみてくださいね。
「カリートキ」のレシピはこちらをクリックしてください。