極東の窓

ロシア極東連邦総合大学函館校がお送りする極東情報満載のページ。
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ロシアを知る講演会「ロシアの復活祭」

 4月14日(火)の夜、函館ハリストス正教会で、まもなく行われる復活祭を前に、その伝統や習慣を紹介する講演会が開かれました。ドミートリエフ・ニコライ神父は、「今日は伝道ではありません」と断りながらも、文学や社会を勉強するためには宗教を知らないと正しい理解ができないと、集まった市民や函館校の学生を前に、わかりやすく説明してくれました。コーディネーターは北海道新聞社モスクワ支局駐在の経歴を持つ藤盛一朗記者が務めました。
  
 復活祭は、一般的にイースターとも呼ばれる、正教会最大のお祭りです。なぜ復活祭がクリスマスなど他のお祭りより重要視されるかというと、ハリストス(キリスト)が復活された、つまり我々も死後復活できる、という希望があるからだそうです。
 正教会の行事は一年をサイクルとする教会暦に基づいて行われますが、それは教会での祈祷に関係するだけでなく、ロシアでは民衆の生活サイクルの拠りどころとなっています。復活祭の前、49日間は物忌みで肉や卵、乳製品を避けて過ごします。そういった力のつく食べ物を控えることによって、心が穏やかになり、自分を高め、神に近づけるという意味があるそうです。
 物忌みが済み、いよいよ復活祭を迎えると、クリーチ、パスハ、イースターエッグなど喜びを表す特別の料理が準備されます。クリーチはドライフルーツなどが入った丸いケーキ、パスハは専用の型を使って作る四角錘のチーズケーキのようなお菓子。どちらもとても甘いものですが、神父の話によると、甘い味は天国の喜びを表すものだからだそうです。
 正教会の祭日はそれぞれ色を持っていて、復活祭の色は赤。「祭りの祭り、祝いの祝い」と呼ばれる復活祭を迎えた最高の喜びを表す色だそうで、神父の祭服も行事に合わせて色が決められているとのことです。やはりロシアでは赤は特別な色なのですね。
 元町の函館ハリストス正教会の周りにはカトリックやプロテスタントの教会もありますが、同じキリスト教でも各教派によって習慣が異なるそうで、ニコライ神父がその違いを例を挙げて説明してくださり、大変勉強になりました。
 
 今年の正教会の復活祭は4月18日(土)の深夜11時30分から夜通し行われるそうです。信徒ではない方でも一部参加できるので、この機会に教会に来て、世界一美しいと言われる正教会の行事に触れてほしい、とのことでした。

ロシア極東国立総合大学函館校 事務局 大 渡 涼 子