＜１月＞クスコヴォ（モスクワ）

モスクワの中心部から東に約10キロ、モスクワ環状道路（МКАД）のすぐ内側に位置するクスコヴォはロシアの大貴族シェレメチェフ家の夏の別荘として18世紀半ばに建設されました。一度に三万人の客を迎え入れることができたとも言われる広大な敷地内には、鮮やかなピンク色の外壁が印象的な屋敷を始め、教会、鐘楼、大小の池から成る庭園など多くの建造物が現存しており、現在では博物館として一般公開されています。特に屋敷内の鏡の回廊と呼ばれるダンスホールや、インテリアが木苺色で統一されていることからマリーナ（マリーナはロシア語でキイチゴの意）の間と呼ばれる客間は圧巻です。エカテリーナ二世の肖像画やシェレメチェフ伯爵の胸像、シャンデリア、寄木張りの床など豪奢な調度品で飾られており、芸術を愛した一家の贅の限りを尽くした暮らしぶりを知ることができます。その他 普段用の寝室とは別に«Парадная спальня»と呼ばれる寝室があることから、当時の貴族にとって寝室は必ずしも私的な空間でなかったこともうかがえます。
夏の別荘として建設されたこともあり、見学に最も適した季節は夏ですが、閑散期の冬に訪れるのもお勧めです。林の中の池が一番奥まった場所から雪の積もった木々を通して対岸に見る屋敷の姿は淋し気でありながらも壮大で、思わず呆然と立ち尽くして見入ってしまうような美しさがありました。

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