ロシアの伝統的風邪治療法
ロシア極東連邦総合大学函館校 教授 パドスーシヌィ・ワレリー
新型コロナウイルスが引き起こす深刻な病に関する最初の警戒がなされたのは、昨年の12月末のことでした。その後2ヶ月ほどで、この病は世界中に広がりました。3月11日には世界保健機関がコロナウイルスの世界的大流行であるとの認識を示しています。 残念ながらこの病は、日本とロシアにも伝わりました。
この病の治療に有効な薬がまだないことが私たちを不安にさせています。 感染を防ぐためにはどうすればよいのか。医師が推奨している、よく手を洗い、うがいをし、顔には触れないようにし、必要に応じて医療用マスクを着用するという、それらの衛生管理を怠らないことが非常に重要です。また、免疫力を強化し、身体の抵抗力を高めることも同様に大切です。
さて、古いロシアでは、どのように風邪を治癒したのでしょうか。また、風邪をひかないための健康増進方法はどのようなものだったのでしょうか。そして今日でもまだ行われているロシアの伝統療法にはどのようなものがあるでしょうか。風邪予防のための民間療法として、ロシアではロシア風呂とペチカの二つが用いられています。
伝統的なロシアの風呂は、水と蒸気を同時に使いながら温かくして体を洗うところです。まず、お湯で体を洗い、熱いスチームが充満している「スチームルーム」に入ります。高温多湿の空気自体に治療効果があるとされています。体にわさびや蜂蜜、ウォッカをこすりつけて効果をさらに高めたりもします。また、熱
湯に薬草が加えられることもあり、蒸気は有用な薬草エキスで満たされるのです。冬には泳ぎをする人たちもいて、風呂の合間に屋外を走ったり、雪や氷の水に飛び込んだりしています。温度の差が体の抵抗力を強化して、風邪を避けるのだそうです。
ロシアやベラルーシ、ウクライナの伝統的な住居には、石造りやレンガのペチカが設えてあります。家の暖房や調理をする際にも使用されるのです。 ペチカの上にはベンチが配置され、家の中で最も暖かい場所です。 風邪の兆候が表れると、ベンチに登り、温められた石に横たわるのです。 ペチカは体中をしっかりと暖め、治療効果をもたらします。 お風呂でもそうしたように、バターとウォッカに胡椒を混ぜた蜂蜜で体をこすってより温めたりもしました。
お風呂とペチカは風邪の予防に効果的です。 けれども、ウイルスに感染して病気になってしまった場合はどうしたらよいのでしょうか。
風邪の最も効果的な治療法の1つは、イヴァンチャイと呼ばれるお茶を飲むことです。 葉だけでなく、茶の茎やさらには根も煎じます。 そうして出来上がったイヴァンチャイを熱くして、1日に少なくとも5回は飲むのです。 イヴァンチャイの葉は粉砕して、ケーキやスープに加えられたりもしました。
それ以外に根強い人気のある治療薬として用いられるのは、ニンニクです。 人間の免疫システムを強化し、風邪退治に有効です。 パンと一緒に食べたり様々な料理に加えられるだけでなく、特製の小さな箱に入れて胸に着けていました。
効果的で価値ある薬として考えられてきたのは、蜂蜜です。 風邪のひき始めにはそのまま食べ、熱いお茶やミルクに加えて飲みます。 蜂蜜入りの熱いミルクにバターを加えたり、おろし生姜を加えたりもします。
蜂蜜入りのお茶以外でとても大事な伝統的風邪対処法は、ロシア風ジャムであるラズベリーのヴァレーニエです。 ジャムとは異なり、ヴァレーニエは比較的短時間火で調理されるため、果物の有効成分が損なわれることなく保たれるのです。 ラズベリーのヴァレーニエを入れた熱いお茶は熱を下げ、呼吸を改善し、鼻腔をきれいにするのに役立ちます。
もちろん今の時代、伝統的な予防法と治療法だけで風邪を治療することはあり得ません。ですが、何世紀にもわたる昔ながらの対処法は、何らかの効果があるといえるのではないでしょうか。
今夜、蜂蜜とバターを溶かした熱いミルクを飲んでみてはいかがでしょうか。
卒業生からの寄稿
卒業を迎えて
ロシア地域学科 佐藤 和樹
ロシア極東大函館校に入学してから卒業まで、とても濃い4年間だと感じました。1-2年の時は授業が進むにつれて覚えることが増えていき、授業スピードも上がったので、頭が破裂しそうだったことを覚えています。とにかく単語の量と文法、詩の暗記が大変だったので心が折れてしまいそうでした。
しかし、ロシア語、英語を勉強することで、文法が似ているところがあり、また単語の読みがほとんど同じものがあると気づくことがあり、両方上達していると実感するのが楽しかったです。
印象に残っているのは1年生の秋のことです。ロシア正教会の神父団が来校しました。私が正教会信者ということもあって、司会を務めました。その時に少しの日常会話と少しのスピーチをしたことで、ロシア人ともっと話してみたいという気持ちが強くなりました。
順を追うと次は2年次のJT奨学金を活用した海外インターンシップです。このインターンシップでモスクワとサンクトペテルブルクを訪れました。どちらの街も美術館がとてもきれいだったことを記憶しています。ロシア民族学の授業で見た写真と本場で見るのとでは全然違うので、先生が教えてくれた作者の想いや小ネタがより面白く感じ、ロシアへの興味をより強く持つことができました。
次は3年次のウラジオストクでの留学実習です。最初はロシアで生活できるのか、会話はできるのかといった不安しかありませんでしたが、学校に行くとクラスメイトや先生に恵まれて、特に日本人学生からはウラジオストクでの生き方のようなことを学んだので、不安は一気になくなりました。
函館校はロシア人の先生がいて、ネイティブな発音を耳にしているため、意外と会話に困ることもなかったです。お互いの語学力を高めあえるようなロシア人の友達ができて、「ここにいれば怠けずにロシア語を使えるぞ」と自信がつきました。
この学校では上記以外のことでもめったに体験できないようなことがここに書ききれないほどあるので、ここ函館校に入学して卒業することができてよかったと思いました。
卒業して
ロシア地域学科 鈴木 康太
私はこの学校に入学してたくさんの経験をしました。
あまり目標もなく、ほとんど好奇心で始めたロシア語。もちろんゼロからのスタートでした。入学したての頃は「3年生になったら留学実習で初めて海外に行ける。」と思っていました。しかし、ロシア語を学び始めて半年もたたずにJT夏季休暇短期インターンシップ(当時)に参加させていただきました。この時が初ロシア、初海外で不安や嬉しさ、楽しみなどの感情が溢れたことを今でも覚えています。
2年生では、エカテリンブルグ国際青年キャンプ交流プログラムに参加させていただきました。「1年生の時にもロシアに行けたのにまた行ける!」と思いながら先輩や後輩、他大学の人たちとこのプログラムへ参加しました。そこで「私たちの大学の先輩すごいな。」と素直に思いました。日本にいると先輩や後輩のロシア語を聞く機会はあまりなく、エカテリンブルクで当たり前のようにロシア語でロシア人と会話する先輩はとても格好よく見えました。
3年生では、入学の時から楽しみにしていた留学実習。これまでに2回ロシアに行ったといっても両方10日前後。留学実習は3か月。不安ももちろんありましたが楽しもうと実習に臨みました。現地ではロシア人だけではなく、ロシア語を学ぶ韓国人や中国人とも交流ができ今までの渡航とはまた違う、有意義な実習だったと思います。
4年生ではわからないことだらけの就職活動がありました。自分には特にやりたいこともなくとても苦労しました。やりたいことが分からなかったのでとりあえず様々な合同企業説明会に行き、やりたいことを見つけ、その企業に入れるよう努力しました。
このほかにも書ききれないほどのことがありました。友人が次々と学校をやめて行ったり、自分が学校をやめようとしたり、先生が夜遅くまで卒業論文を指導してくださったり、いろいろあります。
このように私はこの4年間で様々な経験をしました。きっかけやチャンスをくれた教職員の方々、刺激を与えてくれた先輩や後輩、クラスメイト、そしてすべてにおいて支えてくれた家族に心より感謝します。この経験を糧にこの先も感謝を忘れず様々なことに挑戦し努力していきたいと思います。
4年間を振り返り
ロシア地域学科 山之内アナスタシア
私の大学4年間は、長くてとても濃いものだった。
日本に来てからおよそ15年の月日と共に忘れてしまったロシア語を思い出すため、そして今後の就職に活かすためにロシア極東大函館校に入学を決意した。
日々の授業では、今まで聞いたり話したり、また本の中で出会う言葉の作り方や疑問を解決した。将来への不安が湧き出た時には、『今あるものを素直にやればおのずと結果に繋がる』という言葉を念頭に置き、日々の学習に励んだ。その結果、4年間でロシア語の基礎を定着させ、読解力とそのスピードの向上を実感した時は大変嬉しくなった。それが分かるのは、学校のテストで数字として結果を見たり、留学時の何気ない会話の時など、実感した瞬間は様々だが、できたという自信になり、たとえ辛く感じることがあっても学ぶ楽しさを感じた。
函館での学習以外では、JT奨学金海外インターンシップに参加しビジネス面から日露関係を見たこと、モスクワとサンクトペテルブルクで実際にロシアの歴史のある場所を訪れたことが印象的だった。
また留学ではロシアで生きる事の大変さを感じつつ友人との交流や日本では味わえない感覚を体験することができ、大変楽しい思い出になった。
毎年学年末で書くレポートや論文では、ロシアやスラヴ世界についての内容を選ぶことで、ロシアとその周りの国々の言語の繋がりやロシアを多方面から研究する事ができ、新たな発見を知る喜びを感じた。
いつも支えてくれて、楽しい思い出を一緒に分かち合ってきた友人達、興味深い内容を愛を持って指導してくださった教授陣、私のロシア語を学ぶという夢を応援し支えてくれた家族に感謝している。
この4年間マイペースであったが、実りのあるものになった。
卒業にあたって-高齢者の学生体験-
ロシア語科 阿部 眞澄
私は定年退職後に入学し、この度何とか卒業に至りました。語学学習の特性の故か、大学生を通り越して高校生にまで遡ったような気がした2年間でした。周りの方々のお心遣いで、若者に混じっても全く違和感を覚えずに学生生活を送ることができました。感謝に堪えません。今は久し振りに大人の世界へ社会復帰する気分です。
高齢での語学の習得は難しいと承知はしていました。でも、いつかこの言語を正式に学べたら、という若い頃からの願望が、時間的な制約から解放されてやっと叶えられたのです。
実際に入学してロシア語学習に本格的に取り組み始めると、その難しさは想像を遥かに超えていました。入念に練られたカリキュラム、覚えるべきことの膨大さに圧倒されました。しかし、否応なく机に向かわざるを得ない状況に追い込まれるのは私が望んだことでもあり、怠け者には最上の環境でした。呑み込みの悪さに苦しむ自分すら、どこか客観的に楽しんでいたように思います。
勉強に明け暮れたはずなのに、入学時に思い描いていた自然に会話ができるレベルは未だ遠い道程です。不甲斐ないですが、この2年の成果を自分なりに納得しています。
それにしても、ロシア人はこの複雑な言語を当然のように日常会話で駆使しているのか、と改めて驚きます。周囲でロシア語が普通に飛び交う、ロシアをより身近に感じられるこの学校で学ぶ機会を得たことは幸せでした。
今回すぐには東京の家に戻らず、当面函館に留まることにしました。本校の科目等履修や市民講座等で、卒業後のセカンドステージの勉強法を実践してみることとしたのです。
ロシア語学習を自己満足だけで終わらせず、何らかの形で還元できるようになるまで、勉強を続けたいと思っています。好きこそものの上手なれという言葉を信じて。
函館校でのおもひで
ロシア語科 中谷 嶺
思えば色々ありました。地元関西を離れ、津軽海峡を越え、北の大地を踏みしめて早2年になります。北海道と言う土地は、昔から大のテレビっ子である私にとって、愛してやまない番組『水〇どうでしょう』がやっている場所ということもあり、漠然とした憧れがありました。ロシア語学習に意気込んでやって来た身でありながらも、何か心のゆとりを持とうとチャンネルを回す日々もありましたが、忙しくなった今では毎朝の『onちゃんおはよう体操』を見る程度になった今日この頃です。・・・閑話休題。
本校の門を叩いて間もない頃、ロシア式の名前を名乗ることが慣例になっていることに驚いたことを今でも覚えています。Eテレのロシア語講座に出演していた女性由来でその名を襲名して以来、ジェーニャとしての生活が始まりました。簡単であろう下の本名で未だに呼ばれないあたり、おそらく芸名のようなものだと認識しています。
さて、行事を振り返ると、АБВГ-Dayとウラジオストクへの短期留学の二つがやはり印象に残っています。АБВГ-Dayでは、原稿やネタを日本語で書き上げること自体は容易であるものの、ロシア語への訳出の困難さ、言語の転換により話の面白さが伝わらないことのもどかしさを感じました。必死になって覚えた原稿がとび、本番でほとんど見てしまうという醜態をさらしたことも悔やまれます。私と演者の二匹は、一表現者としてひどく落ち込み、大反省会を開いたことは言うまでもありません。
留学実習で初日の夜から洗礼をうけたことは記憶に新しいです。自分を含めた4人を乗せたタクシーが目的地に到着したのはいいものの、自分が滞在する寮のちょうど反対側の寮に着いたことにより、一人だけ慣れない夜道に取り残されました。傍には、重量制限上限まで夢と期待とガラクタの詰まった23㎏のパンパンのスーツケース。およそ長時間の持ち運び用に作られていないであろう代物を寮まで1時間かけて押して行ったH先輩とのあの夜は生涯忘れることはないでしょう。涙がこぼれないように上を向いて歩けなんて歌詞がありますが、上を向いても涙はこぼれるもの。函館に来て数少ない涙の1回がこの時だったと記憶しています。しかし涙の先には、ウラジオストクの星空が広がっていました。
このように様々な経験を通して、いい意味で自分の常識や価値観が壊れ、めまぐるしく変わっていった日々はさながら格変化のようであり、今ではそんなこともあったねと思いを馳せる毎日です。
さて、そろそろジェーニャとしての生活が終わりを告げようとしています。ここに来る前と後の自分。毎日の八幡坂の昇降を通じシェイプアップした身体、そして何よりも変わったであろうロシア語力を信じて…。この辺りで筆をおこうと思います。
卒業を迎えて
ロシア語科 大場 圭吾
過ぎた日々を振り返ると、様々なことが思い出される。日本各地から集まった、個性豊かな学友と勉学に励む日々は、とても刺激的であった。
私たちのクラスにはロシア語を学んでいたという学生は少なく、文法や発音など、それぞれロシア語に苦戦してばかりだったように思う。しかし共に学ぶ学生がいたから、毎日の授業を通してロシアへの興味、好奇心は増し、勉学への意欲を保ち続けることができた。そして、日々難易度を増していくロシア語の授業についても、ともに学ぶ学生の助けが大きな支えになった。
歴代の卒業生の方々と同じように、学生生活での一番の思い出はウラジオストク本学への留学実習だ。現地の学校では多国籍のクラスメイトや周りの人々に助けられ、一か月間を快適に過ごすことができ、そこでの生活から考えさせられることも多く、本校の卒業生としてロシアを語る上で貴重な体験ができた。
留学以外にも印象に残ることは多い。学んだロシア語を用いて、それぞれが興味のある分野で発表を行う「АБВГ -Day」、例年盛り上がりを見せる「はこだてロシアまつり」、学内での活動だけでなく、開校25周年を記念して開かれたコンサート「『極東の窓』から」など、それぞれの行事に取り組み、学生生活中の思い出をつくることができた。
また、こうした経験から、自主性や、能動的に行動することの大切さも学ぶことができた。私にとって、まさしく『あっという間の二年間』であった。ここで得た知識や経験を忘れずに、これからの生活や仕事に役立てていきたい。
学生からの寄稿
JT海外インターンシップに参加して
ロシア地域学科3年 安井 燎大
昨年12月7日から10日間のJT海外インターンシップに参加し、サンクトペテルブルク・モスクワで複数の日系企業・団体を訪問した。訪問する企業や団体についての特別講義を受け、ロシアへの出発直前にJTと双日の東京本社でもレクチャーを受けた。今回のインターンシップに参加するにあたり「自分の今後の進路に有益な経験を得る」「できるだけロシアでの生活を楽しむ」という二つの目標を立ててから臨んだ。
行く前の不安は大きかった。自分たちだけで企業を訪問し、時間をいただいてお話をさせていただくというのは、まだ学生である身としては勇気が必要であった。自分は昨年の夏にモスクワのプーシキン大学で一か月の語学留学を経験したが、今回経験するのは企業の訪問であり、自分のロシア語能力に対する不安もあった。しかし、それ以上に東京やロシアで日系企業のオフィスを見学できることやお話を伺えることが楽しみだった。
訪問先の一つであるJTI社の見学では日本人と会うことがなく、企業のレクチャーや工場見学のガイドもすべてロシア語で行われたので、聞き取れないときや理解が追い付かないことも多く、期間中で最も緊張した。しかしこの経験により、人と接するときには言葉や文化の壁を恐れて腰が引けたまま接するのではなく、素のままの自分で接することが大切だと感じた。例えば相手に何かを言われてわからなかったことがあったとしても、まず必要なのは黙り込むことではなく、自分の意図やどう感じているのかを伝えることであり、失敗を恐れすぎて何かをしないのもまた失敗であると強く感じた。
日系企業で働くロシア駐在員の方々とお話をして感じたことは、様々なものに対して興味を持つことが、自分にはまだ足りていないということである。自分はロシアに対しては、特に言語に興味を持ったのがきっかけでこの大学に入学したが、ロシア語の力だけを高めても、本当の意味での人間的な成長はできていない。ロシア語を勉強するのは楽しいが、いまの自分はそれに溺れてしまっていて、そこで満足しているのかもしれない、と気がついた。ロシアと深く関わって働きたいという意思があるならば、一番必要なことは言葉の勉強ではないのかもしれないと駐在員の方々とのお話を通して感じた。とはいえ、ロシア語の勉強を疎かにしていいということではないので今後も意識を高く維持していきたい。今まで二の次にしていたことをしっかりと見つめ、適当に時間を過ごさないことを強く意識していく。
企業訪問以外にもサンクトペテルブルク大学の学生2名と交流を行った。彼らは驚くほどに日本語が堪能で、勉学に対する貪欲な姿勢に刺激を受け、自分の学生としての姿勢を見直す良いきっかけになった。
最初に立てた目標の「自分の今後の進路に有益な経験を得る」を達成することができたと思う。自分の倍以上の人生を経験してきている方々から、ロシアに関することだけではない様々なことを聞けたことで、自分を省みる良い機会になった。滞在中に得られた経験を自分なりにしっかりと消化したい。
二つ目の目標の「ロシアでの生活を楽しむ」も達成できた。十日間というとても短い期間ではあったが、滞在中通っていた食料品店のレジの中年女性と顔見知りになれたり、昨年夏の短期留学では行けなかった場所に行ったりと、自由時間に無駄な時間を過ごすことなく楽しむことができた。
これらの体験により、一層ロシアに対する思いも強まり、ひいては勉学へのモチベーションもより一層上がった。
今回のインターンシップを経験した上での現在の目標は、自分が今どんな人間でこれからどうなりたいのか「自分を知る」ことと、ロシア語を勉強しつつそれを将来どう使って行きたいのかについて今一度考えることである。このような機会を与えて下さったJTをはじめ、訪問先の方々、そして学校の先生や事務局の方々に深く感謝したい。
JT海外インターンシップに参加して
ロシア地域学科3年 小池 凜
私は、昨年の12月の初めから10日間ほど、JT海外インターンシップに参加し、サンクトペテルブルクやモスクワにある、日本企業や団体を訪問しました。
今回訪問させていただいた企業はどれも大企業で、業種も様々でしたが、どの企業も働くにあたり英語が話せることが前提となっているのは少し意外でした。ロシアに会社があるからといって、ロシア語だけが話せればいいという訳でもなく、ビジネスとしての英語の重要性を再確認しました。そして訪問先の東洋トランスさんにて、ロシア語などのマイナーな言語が話せるからといって、とても重宝されるというわけでもなく、結局は仕事ができるか否かで判断される、というお話も印象的でした。ロシアで働くにおいて、ロシア語が話せるか、ということにしか私は目を向けていなかったのだと認識しました。
また、私は今回の企業訪問が初めての海外経験でした。自由時間に、私は趣味が裁縫なので服地を扱っている店に行きました。大型店のように、自分で好きに店内を見て回れると思っていたのですが、実際は自分の欲しいものを店員とやりとりして買う店でした。そんなことは予想もしていなかったのですが、店員の方々も外国人の私が来たからといって、「英語ができない」と慌てることもなく接客してくれたことが印象的でした。この店に限らず、ロシアは日本と違い「外国人が来るので、英語で話す」という考え方をあまりしないように感じました。「ロシアにいるのだから、ロシア語で話せ」と言われているような雰囲気が、日本しか見てこなかった私にとって新鮮でした。
また、ホテルで朝食をとっている時に、同じホテルに泊まっていた中国人らしき女性から、コーヒーメーカーの使い方を教えてほしいと頼まれたこともありました。その女性は英語もわからなかったらしく、ひたすら中国語で話しかけられましたが、女性の要望はなんとなくわかりました。他にも、ロシアから日本に帰る機内で、残念ながら同行したメンバーとはバラバラに座ったのですが、隣に座ったロシア人の男性方に話しかけられました。私も拙いロシア語で応えながらも、その人たちと楽しく話をすることができました。
このような体験を振り返って、コミュニケーションをとることにおいて、共通の言語が話せるということは絶対条件ではない、ということもわかりました。
今回の訪問を振り返り、普段なかなか聞けないようなお話を聞けたり、ロシアの空気感を味わえたことは、非常に良い経験だったと思います。実施や受け入れに関わってくださった方々には深く感謝申し上げます。
人事
体育担当の高橋厚一先生が3月31日付で退任されました。平成28年4月の着任以来4年間、全学生を対象に体育館での授業のほか、緑の島でのサッカーや函館山登山、冬のスケートなど、工夫に富んだ内容で指導していただきました。後任には、函館市内で長く中学校教員を務め、ハンドボール指導で高く評価されている小林礼先生が着任されます。
また、事務局体制も変わります。平成30年4月より事務局長を務めてきた安達幹彦さんが3月31日付で退職しました。新事務局長には、大渡涼子総務課長が就任します。さらに学務課長として教員と事務を兼任していた倉田有佳教授は事務局の職務を離れ、教員に専念します。
退職されるお二人には大変お世話になりました。4月からの新体制についてもよろしくお願いいたします。
学務課お知らせ
校舎の利用時間
本校の校舎利用時間は平日8:30~17:00です。原則として平日以外は休校のため校舎内立ち入りはできません。利用時間外に校舎を利用したいときは、あらかじめ事務局に申し出てください。
校内掲示板(学生連絡)について
ほぼ毎日、学生への連絡事項を校内掲示板に貼りだします。掲示板は、学生係、教務係、進路・就職、図書室、自治会・サークル活動、事務局の6種類ありますのでそれぞれ確認してください。掲示物を見落としたことにより生じる不都合・不利益について、学校は責任を負いかねます。
出席率
期末試験を受けるには各授業原則80%以上の出席率が必要であり、出席率が低い学生には受験資格が与えられません。
留年を防止するため、特に出席率が低い学生の保護者の方には文書で通知しています。
欠席について(7日未満の欠席)
やむをえず授業を欠席するときは事務局で所定の用紙をもらい、必要事項を記入して、欠席する授業を担当する教員に届け出てください。欠席する日があらかじめわかっていれば前日までに、当日急に欠席した場合は、翌登校日に届け出てください。
欠席した場合、放課後の補習時間を利用するなどして早期に授業の遅れを取り戻すことが必要です。欠席が多くなるとそれだけ回復困難になり、授業についていけなくなりますので、普段から体調や生活リズムを整えて、安易に欠席することのないようにしてください。
なお、7日以上の長期欠席、公欠は、事務局学務課へ届け出てください。
補習について
水曜日を除く平日の放課後は毎日ロシアセンターで補習を行います。補習担当教員の当番表は教務係掲示板に掲示しています。
成績通知について
本校では保証人との連携により、学生へのより適切な修学指導を行うことを目的として、学生の成績を保証人(学生の親権者等)の方々へ通知しています。
通知は、毎年3月又は4月に行う予定です。特段の理由により、保護者への成績通知を希望しない場合は事務局へ申し出てください。また、学生の皆さんには学業成績簿とは別に成績通知を配付します。前期の成績は、後期授業開始時の9月に配付します。また、後期の成績は翌年度の4月に配付を予定しています。
2~4年生は前年度の成績について事務局で配付しますので、下記期間内に受け取りにきてください。
4月8日(水)~4月17日(金)
なお、期間を過ぎましたら個人情報に関わるので廃棄します。再発行はしません。
論文ガイダンス・学年レポート
3年生(学年論文)と4年生(卒業論文)を対象とする「論文作成」の授業は、前期から開始となります。シラバスに基づき、資料の探し方や論文の書き方の指導、論文発表(プレゼンテーション)の練習、論文作成(執筆)などを行います。
1、2年生(ロシア語科・ロシア地域学科)を対象とする学年レポートについては、後期から「論文作成」の授業が始まります。ただし、前期においてもテーマの決定など、論文ガイダンスを行います。開催日時は、別途掲示にてお知らせします。
2019年度のロシア地域学科4年生の卒業論文のテーマは、以下のとおりでした。
・佐藤和樹「初期の日本正教会:亜使徒ニコライの活動を中心に」(Ранняя история Православия в Японии: миссионерская деятельность святителя Николая Касаткина)。
・鈴木康太「北方世界の中のアイヌ:19世紀~現在
」(Место Айну в ряду культур северных народов с XIX в. до нашего времени)。
・山之内アナスタシア「ロシアにおける中国文化の影響 18-19世紀」(Китайское культурное влияние в России XVII – XX вв.)。
図書室より
昨年丸善出版より発刊された「ロシア文化事典」を購入しました。個人で買うには高価な本ですから、譲り合い大切に使用し、ぜひ学習に役立ててください。
また、日本たばこ産業㈱より、「シーボルト博士の『日本植物図譜』とその200年の歴史」の寄贈を受けました。エルミタージュ美術館で販売されているそうで全編ロシア語ですが、箱館に関する記述や古地図も掲載され、興味深い本です。
図書は大切な財産です。マナーを守って使用してください。図書室を利用できるのは、本校教職員および学生、聴講生のほか、本校教職員の紹介がある方です。
開館時間は平日の午前9時から午後4時30分、貸出は同時に5冊が上限です。
一般図書の貸出日数は15日間です。日数、手続きは書物により異なります。貸出・返却は必ず事務局職員を通じて手続きをとってください。貸出が長期に渡る場合は所定の手続きが必要です。
留学説明会
4月16日(木)16:15からロシア語科2年生とロシア地域学科3年生を対象に第1回留学説明会を行います。場所は5番教室です。
今後の説明会の日程や準備について説明します。
対象者は必ず出席してください。
JASSO奨学金
本校入学以前に日本学生支援機構奨学金を貸与されていた新入生および前年度で貸与を終了した2~4年生は奨学金返還期限の猶予を申請できます。希望者は4月16日(木)までにインターネットのスカラネットパーソナルから在学届を提出してください。在学届の提出方法は貸与終了時に交付された「返還のてびき」に記載しています。分からない場合は事務局学務課へ来てください。
進学届の提出について(採用候補者)
大学等奨学生採用候補者は決定通知【進学先提出用】を4月8日(水)までに事務局へ提出してください。入学時特別増額貸与奨学金に係る書類提出の指定があれば一緒に提出してください。書類に不備がなければ学校の識別番号(ユーザIDとパスワード)を交付しますので進学届を4月16日(木)までにインターネットで提出してください。 初回振込日は5月15日(金)の予定です。
在学採用募集説明会(給付・貸与希望者)
4月13日(月)14:40から7番教室で奨学金申込の説明と申請書類を配付します。希望する学生は必ず出席してください。この日どうしても出席できない場合は、事前に事務局に申し出てください。
なお、募集する奨学金は給付奨学金と貸与奨学金の2種類があります。給付奨学金は令和2年度から始まった新たな制度で、世帯の所得に基づく区分に応じて、学校の設置者(国公立・私立)及び通学形態(自宅通学・自宅外通学)などにより定まる月額が毎月振り込まれます。貸与奨学金は、学生本人が借りる制度(貸与型)です。卒業後は必ず返還をしなくてはなりません。未成年の学生は必ず保証人の方と相談してから、申し込みをしてください。
就職支援について
就職支援体制について
今年度から、本間秀行キャリア相談員による個別相談を下記日程で定期的に設けます。全学年を対象として、就職全般の悩みやエントリーシートの書き方、面接指導を行います。相談を希望する学生は気軽に利用してください。
なお、初回は全学生を対象とした就職ガイダンスとしますので、就職を希望する学生は出席してください。
<就職ガイダンス>
日時:4月24日(金) 14:40~15:40
場所:7番教室
<個別相談>
日時:第2、第4金曜日 14:40~16:40
場所:会議室
インターンシップについて
インターンシップは、企業や業界の仕事内容や雰囲気を知り、自分に合っているかどうかを考えるなど、自分自身の卒業後の進路を考える上で重要な機会です。昨年度は、函館市インターンシップ(2名)、函館空港ビルデング株式会社(1名)、JT海外インターンシップ(4名)に参加し、選択科目としての「学外研修」の履修認定を受けました。
なお、本校における選択科目としての「学外研修」は、本校が認めるインターンシップ受入先での実習を対象とします。
JT奨学金海外インターンシップ
JT奨学金による海外インターンシップ(サンクトペテルブルク・モスクワ)は今年度から3年間、継続されることになりました。今年も12月に実施する予定で、募集については詳細が決まり次第、掲示をしたうえで説明会を行います。参加を希望する学生は必ず出席してください。
なお、参加を希望する場合にはパスポートが必要です。まだ取得していない学生は、いずれウラジオストク留学実習でも必要となりますから、この機会に申請・取得しましょう。また現在パスポートを所持している場合でも、有効期限がロシア出国期限から6ヵ月以上残っていること、および見開きで2ページ以上の余白が必要です。自身でよく確認の上、早めに更新手続きを行うか、心配な学生は事務局に相談してください。
ただし今年は、新型コロナウイルスを取り巻く状況により、海外への渡航が例年通りとならない場合が想定されますので、留意してください。
TOEIC対策講座
TOEICは英語によるコミュニケーション能力を幅広く評価する世界共通のテストで、企業等では採用・昇進のための必須要件となっています。函館では今年も5月と9月に公開テストが行われますが、本校では前期に学内模試を含む特別講座を開催します。自己の英語能力を把握しさらに向上を図るために是非受講しましょう。開講日程は「就職掲示板」にてお知らせします。
ТРКИ講座
ТРКИ(テルキ・外国人のためのロシア語検定試験)は語彙・文法、読解、作文、会話、リスニングの5つのパートからなる外国人ためのロシア語能力検定試験です。
試験は入門、基礎、1級~4級(数字が大きい方が難度が上)のレベル別となっており、ウラジオストク留学中にロシア語科2年生は1級を、ロシア地域学科3年生は2級の合格を目指します。
当講座では、学内模試を行うほか、各パートに合格するために必要な実践的な知識を学習します。開講日程は「就職掲示板」にてお知らせします。
ビジネスセミナーについて
今年も貿易実務講師 渡辺善行氏による『ビジネスセミナー』を引き続き実施します。一般常識として必要な、時事問題や社会制度について広く勉強し、年2~3回を予定しています。
なお、昨年度は7月、11月、2月の3回開講し、テーマは「日本と米国と中国と」、「金融と財政」、「気候変動と経済」でした。
今年度の第1回目は7月を予定しています。詳しい日程およびテーマは決まり次第、掲示してお知らせします。全学生の出席が必須です。
オープンキャンパス
今年度の函館校のオープンキャンパスは下記の日程で2回行います。
日時:第1回 6月13日(土)
午後1時~午後3時30分
第2回 9月27日(日)
午前10時~午後12時30分
1年生は模擬授業に出席します。また、学生自治会役員からは学生の視点から学校生活の紹介を行います。
オープンキャンパスは自治会行事でもあります。自治会役員と1年生は全員出席しましょう。
短信
第22回はこだてロシアまつり終了
2月11日(火・祝)、“色とりどりのロシア”をテーマに「第22回はこだてロシアまつり」が行われました。
屋外で行う「マースレニッツァ」という、冬を追い出し、春を祝う、ロシア伝統の行事を表した寸劇を学生と教員で披露するところから始まり、ロシア料理やロシアの民芸品の販売、民族衣装試着体験にチェス、そして今年初めて行ったグースリ、マトリョミンといったロシアの民族楽器に触れるなど、様々な形でロシアを体験し、知ってもらう機会となったと思います。
天候にも恵まれ、約500名ものお客様にご来場いただきました。ご報告とともに、このまつりを様々な形で支えてくださった皆様に心より感謝申し上げます。
お知らせ
2020年度ロシア語市民講座 受講生募集
~ロシア人の先生にロシア語を習ってみませんか?~
本校のロシア語市民講座は、受講生の学習期間やレベルにより入門、初級、中級、上級とコースを分けています。まったく初めてロシア語を学ぶ方のための入門コースの募集は、1年のうちで5月の開講時のみとなっておりますので、興味のある方は是非この機会にお問い合わせください。
初回は、5月11日(月)です。毎週月曜日開講で、月曜が祝日の場合は、祝日の翌日に開講します。詳細については、ホームページhttps://www.fesu.ac.jp/new
s/1402-4.phpをご覧ください。申し込みの締め切りは4月27日(月)です。
公開文化講座 はこだてベリョースカクラブ 受講生募集
本校のロシア人教授陣を中心に、交替で毎回違った角度から日本語でロシアについての話題を提供し、ロシアについて理解を深めていただくための公開文化講座です。
年8回開催し、初回は5月18日(月)15:00~16:00です。詳細についてはホームページhttps://www.fesu.ac.jp/news/1402-3.phpをご覧ください。申し込みの締め切りは5月7日(木)です。
合同公開講座 函館学2020
本校イリイン・セルゲイ校長が「ロシアと日本の地域交流」と題し、20世紀以降のロシア極東と北海道・東北地方の経済・文化交流についてお話します。
日時:6月27日(土) 13:30~15:00
会場:ロシア極東連邦総合大学函館校
主催:キャンパス・コンソーシアム函館
申込:(公立はこだて未来大学内)
キャンパス・コンソーシアム函館事務局
電話:0138-34-6121
(祝祭日を除く月~金 10:00~16:00)
※申込受付開始は5月中旬以降となります。
函館日ロ親善協会からのお知らせ
1月~3月の主な活動実績
〇2月11日(火・祝)第22回はこだてロシアまつり
今年も当協会が後援する極東大学函館校のロシアまつりが開催され、多くの市民で賑わいました。若手会員有志が学生とともに会場案内やロシアの楽器に触れるコーナーなどで、まつり運営をお手伝いしました。
また、会員のみなさまにもご来場いただき、誠にありがとうございました。
〇2020~2021年は「日露地域交流年」
日露両国が定める「日露地域・姉妹都市交流年」として、政治・経済・文化・スポーツなど様々な分野での地域交流が行われる予定ですが、新型コロナウイルス拡大の影響もあり、現在のところ当協会で具体的に予定される行事はありません。状況が変わりましたら、随時お知らせします。
<係りより>
4月からは市内そして全国から新入生を迎えます。函館でのひとり暮らし、ロシア語という新たな言語の学習と、多くの不安を抱えていることでしょうが、様々なことに挑戦し、ロシアのスペシャリストを目指してがんばりましょう。(倉田)