JT海外インターンシップに同行して
ロシア極東連邦総合大学函館校 准教授 イリイン・ロマン
私は去年の12月、一週間本校の学生4人がJTインターンシップに参加するのに同行して、サンクト・ペテルブルグとモスクワを訪れた。モスクワは過去に行ったことがあったが、サンクト・ペテルブルグは初めてだった。26年前、ソ連が崩壊した年、私は1日間だけモスクワに滞在した。物不足、生活に困っている人の陰気な表情、荒涼としたモスクワの風景は、当時13歳の私を落ち込ませた。それ以来、ロシア極東に位置するウラジオストクに住んでいた私は、ロシア西側へ行く機会がなかった。
シベリア、また極東で暮らしているロシア人はモスクワとサンクト・ペテルブルグの住民に対して先入観を持っている。今回の旅で、モスクワの人は「そっけない」、サンクト・ペテルブルグの人は「善良」などというステレオタイプは本当のことなのか自分の目で確かめることができた。
サンクト・ペテルブルグの空港に降り立つと気温は零度ぐらい。函館より暖かい。曇っていたが雨も雪も降っていなかったので、飛行機での機内アナウンサは「хорошая погода(快晴)」と放送された。実は、「雨はいつから降っている?」「1703年から降っている」というジョークもあるぐらいサンクト・ペテルブルグの気候は悪名高い。2017年のデータによると、年間晴れ日数は45日だけ。雨と雪の日数は何と150日!今回も2日目から三日間雨とみぞれが降っていた。
プルコヴォ空港から街の中心部まで車で40分ぐらいかかる。マイクロバスの中で私達を迎えてくれたガイドのグレブがサンクト・ペテルブルグの歴史などを語って、街を案内していた。グレブによれば、アレクサンドル・ネフスキー広場にある宿泊先のホテルモスクワの全長は1キロメートルぐらいである。私達はそれに仰天した。
2日目の午前中、ガイドのグレブが同行して、ロシア皇帝の避暑地であったツァールスコエ・セローへ行った。ツァールスコエ・セローはサンクト・ペテルブルグから25キロほど離れたプーシキン市に位置するので、車で50分ぐらいかかった。金メッキで光っているエカテリーナ宮殿の大広間、雪で覆われているイギリス式庭園などは非常に印象的だったので、4時間の旅はあっという間に終わってしまった。ホテルに戻って、夜は自由時間。私は1人で地下鉄に乗って、ネフスキー大通り駅で降りた。市内地図を持っていなくて、4時間ぐらい気の向くままにペテルブルグを散歩していた。血の上の救世主教会、聖イサアク大聖堂、青銅の騎士などのペテルブルグの名所に出くわした。ネヴァ川沿いを歩きながら、川の向こう側に建っているイルミネーションでライトアップされる立派な建物を見て楽しんでいた。宮殿広場まで行った。広場で新年を迎えるために光のアーチとクリスマスツリーが立てられる。みぞれ交じりの雨が降るため、人が少ない。悪天候にもかかわらず、ストリートミュージシャンはロックを演奏している。
翌日、サンクト・ペテルブルグの人の有名な「おおらかさ」が実際に証明された。私と学生は地下鉄のホームで電車を待っていた時、急に知らない中年くらいの女の人が話しかけてくれた。「どこまで行くか、電車は反対側ではないか」などの質問で私達の行き方は間違っていないか気を配ってくれた。本当に優しい人だと私は思った。
サンクト・ペテルブルグからモスクワへ行く前にJTIペトロ工場の見学があった。工場はフィンランド湾が見えるペテルブルグ市内からちょっと離れた工業団地に位置する。学生はタバコの葉から紙巻きタバコまでの製造工程を学ぶことができた。学生の時、日本の工場見学はいろいろしたが、ロシアにある工場へ行くのは初めてだった。作業員は少なく、すべての製造過程がほとんど自動化されているという印象を受けた。作業場の見学の後は工場の食堂でお昼をご馳走してもらった。好きなものを組み合わせるという形式で、全ての料理は美味しくて、いっぱい食べさせてもらった。正直に言うと、4日間ペテルブルグに滞在して、工場の食べ物は一番美味しいと感じた。
夜はペテルブルグのモスクワ駅から寝台車でモスクワへ向かった。学生たちは一緒で4人用個室にいたが、私は知らない20代ぐらいの2人の男性と一緒だった。電車が出発する直前に30代の女性がコンパートメントに入ろうとしたが、知らない3人の男性を見たら、「一緒だと怖い!」と言って去った。だが、ほとんど直ぐに先ほどと同じぐらいの年齢の女性があらわれて、迷わずコンパートメントに落ち着いた。
翌朝、モスクワのレニングラード駅に到着した。私達が泊まったホテルは「コスモス」といい、客室数は1800室があり、ロシアで一番大きい。ホテルはモスクワの名所の1つであるВДНХ(ヴェーデンハー)に近い。ВДНХはソ連時代から国民経済成果博覧会という古い呼び方が残っていて、旧ソ連の各共和国、また技術、宇宙、産業と文化に関する展示会が数多くある。今回、修復のため閉鎖中のパビリオンがたくさんあったので、私が行ったのはベラルーシパビリオンとアルメニアパビリオンだけだった。ベラルーシパビリオンでベラルーシ製パンとサーロ(豚の脂身の塩漬)を買い、アルメニアパビリオンでワインを味見した。
次の日、学生と一緒に赤の広場を見に行った。35年ぶりに来た。当時、5歳の私にとっては非常に大きく見えたが、今回は赤の広場は全然大きくないと感じた。グム百貨店はイルミネーションに美しく照らされていた。クリスマスツリーとスケートリンクが設置され、祭り気分が感じられた。
ずっと前から行きたいと夢見ていたサンクト・ペテルブルグ、やっと行くことができた。一週間は短いかもしれないが、ペテルブルグとモスクワで本当に楽しく毎日を過ごすことができた。このような機会を与えていただき感謝している。
△卒業生の豊留大和さん(㈱東洋トランスモスクワ駐在員)がロシアで頑張っている姿を見ることができました。
人事
平成27年4月から事務局長を務めてきた筑土清彦さんが3月31日付で退職しました。また、平成15年から長きにわたり、経営学と貿易実務の授業を受け持たれた非常勤講師の高月晋先生も退任されました。お二人には大変お世話になりました。
事務局長の後任には七飯町立七飯中学校長だった安達幹彦(あだち みきひこ)さんが着任しています。
さらに今年度より1年生の貿易実務は、今までも全学生対象のビジネスセミナーの講師であった渡辺善行氏が担当します。渡辺氏はメーカーの営業や商社社長としての実践的で豊富な経歴をお持ちです。授業は6~7月と10~11月の毎週金曜4限目と変則で行います。新任のお二人ともどうぞよろしくお願いします。
学務課お知らせ
校舎の利用時間
本校の校舎利用時間は平日8:30~17:00です。原則として平日以外は休校のため校舎内立ち入りはできません。利用時間外に校舎を利用したいときは、あらかじめ事務局に申し出てください。
校内掲示板(学生連絡)について
ほぼ毎日、学生への連絡事項を校内掲示板に貼りだします。掲示板は、学生係、教務係、進路・就職、図書室、自治会・サークル活動、事務局の6種類ありますのでそれぞれ確認してください。掲示物を見落としたことにより生じる不都合・不利益について、学校は責任を負いかねます。
出席率について
期末試験を受けるには各授業原則80%以上の出席率が必要であり、出席率が低い学生には受験資格が与えられません。
留年を防止するため、特に出席率が低い学生の保護者の方には文書で通知しています。
欠席について(7日未満の欠席)
やむをえず授業を欠席するときは事務局で所定の用紙をもらい、必要事項を記入して、欠席する授業を担当する教員に届け出てください。欠席する日があらかじめわかっていれば前日までに、当日急に欠席した場合は、翌登校日に届け出てください。
欠席した場合、放課後の補習時間を利用するなどして早期に授業の遅れを取り戻すことが必要です。欠席が多くなるとそれだけ回復困難になり、授業についていけなくなりますので、普段から体調や生活リズムを整えて、安易に欠席することのないようにしてください。
なお、7日以上の長期欠席、公欠は、事務局学務課へ届け出てください。
補習について
水曜日を除く平日の放課後は毎日ロシアセンターで補習を行います。補習担当教員の当番表は教務係掲示板に掲示しています。
成績通知について
本校では保証人との連携により、学生へのより適切な修学指導を行うことを目的として、学生の成績を保証人(学生の親権者等)の方々へ通知しています。
通知は、毎年3月又は4月に行う予定です。特段の理由により、保護者への成績通知を希望しない場合は事務局へ申し出てください。
また、学生の皆さんには学業成績簿とは別に成績通知を配付します。前期の成績は、後期授業開始時の9月に配付します。また、後期の成績は翌年度の4月に配付を予定しています。
2~4年生は前年度の成績について事務局で配付しますので、下記期間内に受け取りにきてください。
4月10日(火)~4月20日(金)
なお、期間を過ぎましたら個人情報に関わるので廃棄します。再発行はしません。
論文ガイダンス・学年レポート
3年生(学年論文)と4年生(卒業論文)を対象とする「論文作成」の授業は、前期から開始となります。シラバスに基づき、資料の探し方や論文の書き方の指導、論文作成、論文発表(プレゼンテーション)の練習などを行います。
1、2年生(ロシア語科・ロシア地域学科)を対象とする学年レポートについては、後期から「論文作成」の授業が始まります。ただし、前期においてもテーマの決定など、論文ガイダンスを行います。開催日時は、別途掲示にてお知らせします。
2017年度のロシア地域学科4年生の卒業論文のテーマは、以下のとおりでした。
氏 名 : 論文タイトル(日本語/ロシア語)
金子 智昭:小西増太郎とトルストイ/Кониси Масутаро и Л. Толстой.
小泉 文哉:ロシア人とロシアの伝統的飲み物/Традиционные напитки в русской жизни.
大平 桃子:ロシアの児童文学-マルシャークの作品/Детская поэзия С. Я. Маршака.
奥山 茜 :18-19世紀のロシアの女子教育/Женское образование в России в XVIII – XIX вв.
髙橋 由 :日本におけるロシア語教育の系譜/История преподавания русского языка в Японии.
山本 実里奈:ロシアにおける初期の日本語教育/Начальный период истории преподавания японского языка в России.
権田 和希:ロシア内戦におけるボリシェヴィキの勝因/Причины победы большевиков в Гражданской войне.
長瀬 光輝:ロシア民話のジャンルとキャラクター/Русская народная сказка – жанры и персонажи.
図書室より
今年も論文作成や英語学習の際の参考文献となる図書を購入しましたので、ぜひ学習に役立ててください。そして、図書は大切な財産です。マナーを守って使用してください。図書室を利用できるのは、本校教職員および学生、聴講生のほか、本校教職員の紹介がある方です。
開館時間は平日の午前9時から午後4時30分、貸出は同時に5冊が上限です。
一般図書の貸出日数は15日間です。日数、手続きは書物により異なります。貸出・返却は必ず事務局職員を通じて手続きをとってください。貸出が長期に渡る場合は所定の手続きが必要です。
留学実習説明会
4月23日(月)14:40からロシア語科2年生とロシア地域学科3年生を対象に第1回留学説明会を行います。場所は4番教室です。
今後の説明会の日程や準備について説明します。
対象者は必ず出席してください。
JASSO奨学金
本校入学以前に日本学生支援機構奨学金を貸与されていた新入生および前年度で貸与を終了した2~4年生は奨学金返還期限の猶予を申請できます。希望者は4月17日(火)までにインターネットのスカラパーソナルから在学届を提出してください。在学届の提出方法は貸与終了時に交付された「返還のてびき」に記載しています。分からない場合は事務局学務課へ来てください。
進学届の提出について(採用候補者)
大学等奨学生採用候補者は決定通知【進学先提出用】を4月10日(火)までに事務局へ提出してください。入学時特別増額貸与奨学金に係る書類提出の指定があれば一緒に提出してください。書類に不備がなければ学校の識別番号(ユーザIDとパスワード)を交付しますので進学届を4月17日(火)までにインターネットで提出してください。
初回振込日は5月16日(水)の予定です。
在学採用募集説明会(貸与希望者)
4月17日(火)14:40から7番教室で奨学金申込の説明と申請書類を配付します。希望する学生は必ず出席してください。この日どうしても出席できない場合は、事前に事務局に申し出てください。
なお、募集する奨学金は、学生本人が借りる制度(貸与型)です。卒業後は必ず返還をしなくてはなりません。未成年の学生は必ず保証人の方と相談してから、申し込みをしてください。
就職支援について
就職支援体制について
今年度も、キャリアアドバイザーによる学内個別相談を定期的に開催するほか、就職ガイダンスを実施します。卒業予定者だけでなく、早い段階から就職活動に向けた準備を始めましょう。
昨年度は、函館市インターンシップに参加した2名及びJT海外インターンシップに参加した4名が選択科目としての「学外研修」の履修認定を受けました。インターンシップは、企業や業界の仕事内容や雰囲気を知り、自分に合っているかどうかを考えるなど、自分自身の卒業後の進路を考える上で重要な機会です。積極的に参加しましょう。なお、本校における選択科目としての「学外研修」は、本校が認めるインターンシップ受入先での実習を対象とします。
ТРКИ(外国人のためのロシア語検定試験) 及びロシア語能力検定試験(日本語話者を対象とした試験)のための対策講座やTOEIC講座など、資格取得にも積極的に取り組んでいきましょう。
TOEIC対策特別講座
TOEICは英語によるコミュニケーション能力を幅広く評価する世界共通のテストで、企業等では採用・昇進のための必須要件となっています。函館では今年も5月と9月に公開テストが行われますが、本校では前期に学内模試とそのフォローアップからなる特別講座を開催します。自己の英語能力を把握しさらに向上を図るために是非受講しましょう。開講日程は「就職掲示板」にてお知らせします。
ТРКИ講座
ТРКИ(テルキ)は語彙・文法、読解、作文、会話、リスニングの5つのパートからなる外国人ためのロシア語能力検定試験です。
入門、基礎、1級~4級(数字が大きい方が難度が上)のレベル別のテストとなっており、ウラジオストク留学中にロシア語科2年生は1級を、ロシア地域学科3年生は2級の合格を目指しましょう。
当講座では、学内模試を行うほか、各パートに合格するために必要な実践的な知識を学習します。開講日程は「就職掲示板」にてお知らせします。
ビジネスセミナーについて
今年も川重商事元社長 渡辺善行氏による『ビジネスセミナー』を引き続き実施します。一般常識として必要な、時事問題や社会制度について広く勉強し、年3回を予定しています。
なお、昨年は6月、10月、2月の3回開講し、テーマは「「会社」の成り立ちと課題」、「最新の技術分野のまとめ」、「税と社会保障について」でした。
初回は7月2日(月)の4限目です。テーマは後日掲示します。全学生の出席が必須です。
JT奨学金海外インターンシップ
JT奨学金による海外インターンシップ(サンクトペテルブルク・モスクワ)は今年度も12月に実施する予定です。
募集については詳細が決まり次第、掲示をしたうえで説明会を行いますので参加を希望する学生は必ず出席してください。
なお、参加を希望する場合にはパスポートが必要です。まだ取得していない学生は、いずれウラジオストク留学実習でも必要となりますから、この機会に申請・取得してください。また現在パスポートを所持している場合でも、有効期限がロシア出国期限から6ヵ月以上残っていること、および見開きで2ページ以上の余白が必要です。自身でよく確認の上、該当しそうな学生は早めに更新手続きを行ってください。
オープンキャンパス
今年度のオープンキャンパスは下記の日程で2回行います。
日時:第1回 6月16日(土)
午後1時~午後3時30分
第2回 9月30日(日)
午前10時~午後12時30分
1年生は模擬授業に出席します。また、学生自治会役員から、学校生活を紹介を行います。
オープンキャンパスは自治会行事でもあります。自治会役員と1年生は全員出席しましょう。
短信
姉妹都市から民謡アンサンブルが来校
「第5回世界のこどもフェスティバル」出演するため、函館市の姉妹都市であるロシア・ユジノサハリンスク市の市立芸術学校に所属する、ロシア民謡アンサンブル「エトノス」のメンバー10名が来函しました。
14~18歳までの男女の構成で、ほとんどのメンバーが札幌など日本国内の都市には何度も公演で訪れているそうですが、函館は初めてでした。
函館校には3月1日(木)に訪れ、教員や学生たちとお茶を飲みながらロシア語で懇談しました。また、全員歌が大好きな様子で、ロシア民謡や日本でもおなじみの「百万本のバラ」、「カチューシャ」の日本語版など何曲も披露しました。
滞在中は、函館校の教員が通訳としてお手伝いしたほか、市からの依頼を受け、4年生の学生が函館から新千歳空港までのアテンド通訳を任されるなど、学生が経験を積む良い機会にもなりました。
学生からの寄稿
JT海外インターンシップに参加して
ロシア地域学科2年 竹内 のぞみ
昨年12月8日から18日にかけてJT海外インターンシップに参加し、ペテルブルク・モスクワで5つの企業・団体を訪問しました。訪問前には特別講義を受け、自分でも企業研究をして臨み、さらには東京本社でレクチャーを受けました。訪問先はどれも大企業であったため、不安も感じていましたが、東京やロシアのオフィスを見学できることやお話が伺えることを楽しみに思っていました。ペテルブルクの学生との交流では、7月に日露青年交流事業「エカテリンブルグ国際青年キャンプ」で交流した学生たちとどのような違いがあるのかにも興味がありました。
今回の訪問を振り返ってみると、ロシアに進出している日本企業を見学したことで、ロシアで働くということについて具体的に考えられるようになりました。お話を聞いているとどの方も知識・話題が豊富で、そのような能力を自分も身につけたいと思い、またロシア人スタッフに指示を与えている先輩の姿を見て、自分もそうなりたいと感じました。先輩から大学での勉強に加えて自分の興味や就きたい職業を明確にし、何が必要とされるのか客観的に見ることの大切さを教えてもらいました。また仕事の場ではロシア語以外にも自分の意見を表現する力やコミュニケーション能力が必要であることがわかりました。
学生交流では、ロシア人学生の学習に対する貪欲な姿勢を目にし、自分のロシア語の語彙の少なさや日本に関する知識の乏しさを実感し、現在の生活や勉強の取り組み方を見直すきっかけとなりました。
企業訪問以外の時間には町を散策しました。同行していただいたロマン先生には、国立歴史博物館での解説や、ロシアの迷信なども教えていただきとても興味深かったです。また以前モスクワに留学していた時にロシア語を教えていただいていた先生とトレチャコフ美術館でお会いし、絵の解説をしていただきました。当時に比べて落ち着いてロシア語で受け答えができるようになっていたことから、大学の授業でリスニング力などが鍛えられていることを実感しました。
日露政府間で交された8項目の協力プランなどにより、日本とロシアの交流は増えつつあり、私たちのようなロシア語を学んでいる学生が今後は日露間で働ける場所も増えるのではないかと予想されます。今回のインターンシップでの経験を踏まえ、ロシア語だけでなく日本の歴史・政治に関する知識や教養、話す力を身につけることにも重点を置きながら勉強に励み、卒業後はロシアで働くことができるよう頑張りたいと思います。
最後に、このような機会を与えてくださったJTを始めとする訪問先の方々、そして学校の先生方、本当にありがとうございました。
JT海外インターンシップに参加して
ロシア地域学科3年佐藤 和樹
今回、JT海外インターンシップに参加し、有益な体験をしました。私は2年間ロシア語を勉強していますが、現地でうまくロシア語を活用することができませんでした。ロシアで活躍されている日本の企業の方々からは、言語学を学ぶことにおいてはたくさんの本を読み、自国の言語をよく理解し、たくさんの人とコミュニケーションをとることが必要であると助言いただきました。また、どのようにして会社へ入り努力したかを教えていただきました。
それ以外にも、ペテルブルクやモスクワで働く方々からロシア人の優しさ、顔やジェスチャーの表現が意味するところ、あるいは文化や習慣の違いを教えていただいた後、自由時間を利用して観光に出かけてみると、自分が最初に抱いていたロシア人やロシアの印象とは異なり、今まで以上にロシアへの興味が掻き立てられました。
私は正教徒で、これまで道内と東京の正教会の聖体礼儀に参列したことはありますが、ロシアの大聖堂がほとんど観光用に使われており、博物館のように入場券を販売していることにとても驚きました。
今回のインターンシップで得た貴重な体験や経験を活かし、さらに勉強に励み、卒業後の進路を考える上での参考にしたいと思います。
インターンシップに関わってくださった方々に感謝申し上げます。
石館とみ奨学生に選ばれて
ロシア地域学科2年 相川 将太
石館とみ奨学金は、日ロ交流を担う優秀なる人材の育成と教育成果の向上を図るためのものです。私は入学以前にこの奨学金の存在を知りました。この奨学金は成績優秀者に与えられるということだったので、授業には必ず出席する、課題は必ず行う、予習や復習を毎日行うことなどを入学当初から心がけました。
また、何事にも挑戦する気持ちで、函館市インターンシップに参加し、北方四島交流(ビザなし交流)に応募しました。色丹島には「ロシア語でコミュニケーションを取れる学生」として派遣されため、住民の方々と積極的にロシア語を使って交流し、もっとロシア語を学びたいという気持ちになりました。
3月になり、掲示板に石館奨学金の自己推薦募集が張り出されました。奨学生になれば、優秀な学生であることの証明になると同時に、生活費を気にせず学習に集中できると思い応募しました。というのも、この奨学金は給付型で、返還型の奨学金制度とは違い、卒業時に返還する必要がないからです。
無事奨学生に選ばれたことで自分に自信がつき、学習に対して更なる意欲が増しました。二年生に進級し、ロシア語の勉強が格段に難しくなっていくと思いますが、日々ロシア語学習に集中できることに感謝し、少しでも目標に近づけるよう、臆することなく邁進していきたいと思っています。
卒業生からの寄稿
卒業するにあたって
ロシア語科 松井 真音
入学式の「パンと塩」で来客を迎える儀式や「マースレニッツァ」という冬を追い出し春を祝う日本ではなじみのない不思議なお祭り、そして卒業式のガウデアムス(国際学生歌)の合唱など、入学したての頃から「独特な学校だな」とは感じていました。ロシア語はおろかキリル文字の読み方すら知らない私にとって、最初は戸惑うことが多かった気がします。
ですが、ロシア語を教えている先生方はもちろん在学している先輩方や同級生、後輩にも個性的で面白い人ばかりで、時には辛いことがありましたがその人達のおかげでとても楽しく充実した毎日を過ごすことができました。
北方四島交流(ビザなし交流)もウラジオストク本学への留学も、この学校に入学していなければ経験できなかったものだと思います。現地では日本やロシア、韓国といった様々な国や民族の方々と交流することができました。その人たちとは今もインターネットを通じて交流が続いています。
在学中はご迷惑も多々お掛けしましたが、先生方や事務の方々からはロシア語を始め、社会に出ていくために必要な様々なことも学ばせていただきました。
最後になりましたが、2年間という長いようで短い時期の間、多くの苦楽を共にした友人や先生方にこの場を借りてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
△ロシアまつりで「キオスク班」を担当
2年間のロシア語学習を終えて
ロシア語科 谷村 康夫
2年前の4月初め、教室の窓から遠くの駒ケ岳の峰を眺め、ロシア語を本当に習得できるのだろうかとの疑念が湧いてきていた。中旬に実施された新入生歓迎会でのスピーチが今でも頭に浮かぶ。「ロシア単語がまったく覚えれないですが、これからも頑張りたいと思います。」この「ロシア単語が覚えられない」には、この二年間ずっと悩まされた。単語テストで、日本語訳は、2、3回勉強すると大体覚えられた。がロシア単語は3度、4度勉強しても、少し時間が経つと単語をまったく覚えていない。同じ単語を間違える。最初より2年後の今は覚えられる割合が増えたが、それでも何時間も単語を勉強して、1年目は歩留まり一割が、今は二割だ。語学学習において単語が覚えられないのは致命的な欠陥であった。「千里の道も一歩から」と最初は、英語、ドイツ語、フランス語を学生時代に勉強したし、ハングルだって片手間に勉強して、10年間かかったが一般会話には困らない程度になった。2年間ロシア語ばかり勉強すれば、終わる頃には千里の内二百里位はたどり着ける。そう思っていた。しかし、それはまったくの幻想であった。2年間一生懸命勉強しても、ほとんどロシア語を習得できなかった。
冠詞がない言語で各品詞の語尾が大きく変化する「屈折語」を65才から初歩の初歩から勉強するのは無理であった。英語やドイツ語のように、have・haven動詞を活用せず、時制を完了・不完了動詞で表現する言語を硬くなった頭で勉強するのは無謀であった。動詞を覚えてもどちらが完了か、不完了かすぐ忘れる。この二年間の語学勉強はまったく徒労に終わった。が、キリル文字だけは覚えることができた。(それすら時々忘れるが)卒業後もNHKラジオ講座ロシア語初級を聞く楽しみができたことだけでも意味のあった2年間だったと自分を納得させている。
△АБВГ-Dayで「湿気、または私を15年間悩ませたもの」についてロシア語で発表
学生生活を振り返って
ロシア地域学科 金子 智昭
私は、この4年間を振り返ると自分が如何に多くのチャンスに恵まれて来たかが良く分かります。1年生の夏には早くもJT奨学金でモスクワ、ペテルブルクでのインターンシップに参加させていただき、3年次にはウラジオ留学、昨夏にはエカテリンブルグでの青年交流キャンプにも行かせていただきました。これら以外にも在学中2度も出場させていただいた全道ロシア語弁論大会やその褒賞のユジノサハリンスク訪問、更に個人的には苦い思い出ともなった2年生での初通訳業務なども矢張りこの学校を通じて得たチャンスでした。入学前にはアルファベット程度の知識しかなかった自分が4年の間にこれだけの経験を積めるとは想像もしていませんでした。これだけの多くのチャンスを与えて下さった事に感謝しています。またこれも全て先生方や多くの関係者の方々のサポートがあっての事でした。心からの感謝を表したいと思います。
この4年間は学業以外の部分でも密度の濃い4年間でした。少人数の上に個性的な人が多く集まるこの学校では時に様々な珍事に見舞われる事もありましたが、最終的には適度に力を抜き、落ち着いた日々を過ごす事ができました。同級生とよく集まって鍋やたこ焼き、トランプなどして遊んだことが思い出されます。何かと人数が減りがちな4年制においてこうして最後まで自分と一緒に残ってくれた学友達にも感謝です。今後はここで得た体験をどのように生かしていくかという課題が残っていますが、今までに培った知識や感覚を忘れる事無く、何かに熱中して取り組めたらと思っています。
△赤い卒業証書(※)をイリイン校長から授与
(※)赤い卒業証書はロシアの大学で特に成績優秀な者に贈られる特別の卒業証書のことで、今年授与された金子智昭さんは、1994年に函館校が開校して以来4人目の授与者となりました。
学生生活を振り返って
ロシア地域学科 奥山 茜
4年間の学生生活は一見長いように感じられますが、振り返ってみるとあっという間でした。本学への留学以外にも、ベラルーシから来日した日本語専攻の大学生との交流やユジノサハリンスクからの舞踊団のためのアテンド通訳、日露青年交流事業によるエカテリンブルグでの学生交流キャンプなど、語学力を生かす機会に恵まれました。
北海道大学やその他道外教育機関でもロシア語の多彩なカリキュラムはありますが、函館校の最大の魅力は教授の存在が身近に感じられ、どんな些細な質問でも豊富な知識量で回答してくれるところです。函館校では自身の能力を発揮できる場が数多くあり、結果に一喜一憂することもありましたが、毎回努力と忍耐を求められるのが語学学習であり、すべては自分次第ということを改めて感じました。
勉学以外にも、自治会の運営や企画を経験したことが今後仕事をしていく上で大きな糧になると感じます。多くの経験を得られたこと、学生生活を支えて下さったすべての関係者の方に感謝致します。
△ロシア語で答辞
学生生活を振り返って
返ってロシア地域学科 髙橋 由
4年前、不安や希望とともにロシア極東大学函館校に入学しました。当時まで関わることが皆無であったロシアの方々が教師として勤務されていて、接し方について迷いがありました。ロシア語学習に関しても、右も左も分かりませんでした。そんな中でも教師陣や周りの方々の支えもあり、無事卒業に至り胸をなで下ろしています。しかし、まだ卒業したという実感はさほどわいていません。新学期を再び迎え、いつものように皆さんと顔を合わせるのではないかと。
在学中、ロシアを2度訪れる機会がありましたが、ロシアをじっくりと味わうことのできた意義深い体験となりました。日本とは生活が大きく異なり、話題も毎日尽きませんでした。自分のつたないロシア語を駆使しながらも、現地のロシア人とコミュニケーションを取る機会も数多くあり、満足しています。私にとって大切な宝物です。
入学時よりロシアがさらに好きになりました。日本国内でもロシアに親しみを持つ人がもっと増えれば、と思います。
この学校生活では、ロシア語を通じて視野が広がり、まだまだ未熟なものの大きく成長させていただきました。自分の人生に多大な影響を与えたと思います。お世話になった皆さんに感謝申し上げます。
△ウラジオストク本学への留学
函館日ロ親善協会からのお知らせ
1~3月の主な活動実績
○ 1月25日(木) ロシア連邦院議員団歓迎昼食会
ロシア連邦院のコサチョフ国際問題委員長をはじめとする議員訪問団が北海道知事の招へいにより来道し、函館でも北海道大学水産学部や水産加工場を視察しました。在札幌ロシア連邦総領事館主催による歓迎昼食会が市内ホテルで行われ、小柏会長ほか1名が出席しました。
○ 2月10日(土) 第20回はこだてロシアまつり
今年も当協会が後援する極東大学函館校のロシアまつりが開催され、若手会員有志が学生とともに当日のまつり運営をお手伝いしました。めでたく開催20回目を迎えた今回は、オリジナル記念スイーツが先着100名に配られ、会員の来場も見受けられました。
△20周年を記念し、函館校で特別注文したラスク(сухарики=スハーリキ)。赤はボルシチに使われるビーツで色づけ、白はロシア沿海地方産 菩提樹のハチミツを使用。紅白のラスクが一つの袋に入っていました。
2018年は政府の定める「ロシアにおける日本年」および「日本におけるロシア年」であり、さらなる日ロ交流の活発化が期待されます。会員のみなさまには5月開催予定の総会において、来年度の事業計画をお示ししたいと思います。引き続き皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
≪係りより≫
3月には11名の学生が卒業し、4月からは年齢や経歴も様々な約20名の新入生が加わります。日ロ交流の機会が増えている昨今。学校での毎日の勉強に励み、ロシア語力をつけていくのはもちろんのこと、学内外での様々な行事や交流事業に意欲的に参加し、見識を広め、真の意味でのロシアのスペシャリストを目指しましょう。(倉田)